「返金できない」は通るのか(イラスト/大野文彰)
任意であるはずの町内会の加入だが、さも強制のような形で入会、会費を払わされたという不満の声は少なくない。では、いったん加入はしたものの、退会したいとなった場合、納めた会費を返してもらうことはできるのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
近所に引っ越してきた若い夫婦が町内会に新規加入し会費を支払いました。ところが後日、「加入を撤回させてほしい」と言ってきました。町内会の会長は「町内会費は返金できない。法律で定められている」と言いますが、そんな法律は本当にあるのでしょうか。
若い夫婦に町内会費を返金しなくてもいいのか教えてください。(神奈川県・56才女性・パート)
【回答】
若い夫婦の言う撤回が、
【1】間違って加入したから加入を取り消す
【2】入会したがやはり退会したい
どちらの理由によるものかで考え方が違ってきます。
【1】の場合は、加入という意思表示の効力を失わせる事情があれば取り消しできます。例えば、町内会は加入自由の任意団体なのに、勧誘者から強制加入団体だと嘘を言われ、信用して入会したとすれば、詐欺による取り消しができます。加入を取り消せば、町内会費の返還を請求できます。ただし加入から退会までの間に町内会の活動で金銭的に見積もることができる利益を受けていたときは、その利益分の返還は拒否できます。
夫婦が勝手に強制加入と誤解した場合は、誤解に基づく加入として、錯誤による取り消しが問題になりますが、誤解自体に重大な過失があれば取り消しはできません。その場合は【2】と同様に退会の申し出として扱えます。
