解約手続きは誰がするべき?(イラスト/大野文彰)
親が子供の名義で保険に加入ケースはままある。では親が保険料を払った保険を子供が勝手に解約し解約返戻金を受け取ることは可能なのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
30年近く前に、母が私の名義で終身保険に加入し、母が保険料を支払っていました。
現在、母は90才と高齢で入退院を繰り返しているため、その保険を解約したいのですが、私が勝手に解約することは可能でしょうか。解約にあたって注意点などがあれば教えてください。(三重県・主婦・65才)
【回答】
お母さんがあなたの名義で終身保険に入ったというのは、
【1】あなたを契約者としてお母さんが手続きをした終身保険で、あなた自身が被保険者になっている
【2】契約名義はあなたで、被保険者はお母さん
【3】お母さん自身が契約者で、被保険者はあなた
という3つのケースが考えられます。
【1】と【2】では、保険契約者は書面上はあなたです。生命保険契約は、契約者がいつでも解除でき、解約すると保険会社から解約返戻金の支払いを受けられます。これが原則です。
しかし、手続きをお母さんがして、保険料を支払い続け、あなたも名義を使われていることを承知していたとすれば、実際の契約者はあなたの名義を借用(名義借り)したお母さんといえます。そうすると、あなたには解約する権利はありません。保険会社の担当者が名義借りを知っていれば、解約手続きが簡単に進むかどうかは疑問です。
また、保険会社が名義借りに気づかず解約に応じ、解約返戻金を受け取ったとしても、そのお金はお母さんに渡す義務があります。勝手に解約したことをお母さんから責められる可能性もあり、お母さんに判断能力があれば、解約のメリットを説明して了承を得ておくことが必要です。
