「葬儀の平均費用」の統計数字はなぜ上振れするのか(イメージ)
お葬式に、みんなどれぐらいかけているのか――。安くはないことが予想されるにもかかわらず、どれだけ調べても「適正価格」や「相場」とされる価格の信憑性がよくわからない。統計の内容を吟味することなく数字だけを鵜呑みにしてしまえば、消費者の判断は歪められる。葬儀業界歴約30年、1級葬祭ディレクターの赤城啓昭氏が「平均費用」の数字について警鐘を鳴らす。【前後編の前編】
「葬儀の平均費用231万円」を信じて葬式をしなかった男性
今回は私、赤城啓昭自身が当事者として経験したエピソードを紹介します。
2011年頃、私は地元のサークルが開催する定期集会に呼ばれて、お葬式のセミナーをすることになりました。1時間ほどのセミナーが終わって、質問タイムに移ります。真っ先に初老の男性が手を挙げたので、マイクを渡しました。セミナーの聴衆の中には、質問があると言いながら長々と自分の演説を始めてしまう人がたまにいますが、まさにそんな人でした。
「島田裕巳さんの本『葬式は、要らない』に、葬儀の平均費用は231万円だと書かれていた。私はそんなに払いたくない。だから去年親が死んだとき、身内も5人くらいだったし、葬式をやらないで直葬にした。それで十分だ」
……という内容の「演説」を始めました。2分を過ぎ、周りの聴衆に対しても「直葬をやるべきだ」と言い出したところで、私はやんわりとさえぎりました。
「あの、お葬式のスタイルは各ご家庭で判断していただくとして、葬儀の平均費用が231万円というのは正しくないです。もっと安いですよ」
「でも、本にそう書いてあった」と、彼は食い下がります。
その後、私は彼の誤解を解いていったのですが、ここからは当時彼に説明した内容をもとに、「葬儀費用の全国平均」の問題点を解説していきます。
