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狩猟ビジネス最前線 DX化でハンター、飲食店、消費者が喜ぶ仕組み作りも

狩猟免許を保有し、ハンターとしても活動する株式会Fant・高野沙月代表

狩猟免許を保有し、ハンターとしても活動する株式会Fant・高野沙月代表

 ジビエ(野生鳥獣肉)を取り巻く世界に、変革の波が押し寄せている。近年の温暖化による積雪量の減少、過疎化や高齢化による耕作放棄地の増加などで、シカやイノシシといった野生鳥獣が激増。農林水産省のまとめによると2020年度の野生鳥獣による農作物被害額は161億円に上る。

 被害を受ける農家からは忌み嫌われる存在である一方、健康志向の高まりを背景にジビエは低カロリー・高タンパクの食材として注目を集め、ジビエを扱う飲食店や消費は拡大基調にある。狩猟そのものにも関心が高まり、20~30代の若手のハンターも増加している。

狩猟免許を取得後、2016年に移住した上士幌町を拠点に自ら狩猟もする高野氏。エゾシカは100kgを超える個体もあり、愛車の四駆には仕留めた獲物を運ぶための電動ウインチを装備

狩猟免許を取得後、2016年に移住した上士幌町を拠点に自ら狩猟もする高野氏。エゾシカは100kgを超える個体もあり、愛車の四駆には仕留めた獲物を運ぶための電動ウインチを装備

 狩猟者向け情報サービス事業を展開する会社「Fant」(北海道音更町)を2019年に創業した同社代表・高野沙月氏も、ジビエに魅了されて20代で狩猟免許を取得した一人だ。同町出身の高野氏は大学卒業後、東京で就職してグラフィックデザイナーとして働いていたが、ある日、飲食店で食べたジビエ料理の美味しさに感動し、一気に虜になったという。

「店内に銃のレプリカが飾ってあり、“これを扱えればジビエ食べ放題!”と(笑)。東京で狩猟免許と猟銃所持許可を取得しましたが、東京には狩猟する場所がない。それならば北海道に帰って狩猟しようと、2016年、上士幌町にJターンの形で移住しました」(以下同)

 地域おこし協力隊員として活動しながら猟に出るなかで、旧態依然とした狩猟業界の体質や、日本の捕獲鳥獣のジビエ利用が約1割と少ない現実など様々な課題を目の当たりにしているという。

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