快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

歴史ある英国ブランドバイク「ロイヤルエンフィールド」が日本でも人気拡大中 魅力は“ちょうどいいサイズ感”の気軽さか

「肩肘張らないバイクライフ」を演出

 ロイヤルエンフィールドの人気となっている理由のひとつに、クラシカルなスタイルと新感覚のカラーリングがあるでしょう。今年3月から日本での販売がスタートした「ハンター350」は古典的なスタイル要素の中に、鮮やかなカラーリングを施し、独特の存在感があります。単に渋さを売り物にするのではなく古典と最新の融合を狙ったところに“肩肘張らないバイクライフ”を演出できていると思います。バイクというとどうしても一部のマニアの世界観で語られることが多くなりますが、このハンターを見ているとライダーの乗り方、ファッション、ライフスタイルを規定しない、フリーダムを感じるのです。

 実はこの自由さこそ、バイクが根本的に持っている最大の魅力なのです。思い立ったらお気に入りのファッションに身を包みヘルメットはポンとかぶって気軽に走り始める。ビッグバイクにありがちな“ある種の心構え”も“出掛けるための理由付け”も不要です。ちょうどいいサイズのちょうどいい排気量のバイクは、そんな軽い感覚にぴったりのファッションアイテムなのです。

 ロイヤルエンフィールドのラインナップにおいて、中軸となるのが350ccクラス。最近ではハンター350だけでなく「メテオ350」や「クラシック350」といったニューモデルを投入してきていて、ブランド人気の中心にあります。3モデルともに一見古そうに見えますが、排気量349cc空冷単気筒SOHCエンジンとフレームを共有しながら、ディテール少しずつ変えながら異なる個性を創り出すという最新の手法で成功しています。

 実際に走り出しても軽快で細身のボディ。そして軽やかにして穏やかなパワーの出方をする単気筒エンジンのフィール。トコトコトコといった適度な鼓動感を感じながら、トルクフルに加速していく感じは、なんともキャラクターに合った走りを実現してくれるのです。そしてパワーの出方が自然なため、アクセル操作で神経質になる場面はあまりありません。仮にバイクにもポタリングという表現が許されるなら、これほど似合った中型バイクもなかなかないと感じた瞬間でした。もちろん思い立てば高速のクルージングを楽しみながらロングツーリングのパートナーも十分に務めてくれます。何かとてもいいものを見つけたような気分になりながら、軽快に走りを楽しみました。

 インポーターによれば「日本における旅は始まったばかりであり、成長著しいタイやインドネシアと同様の成功をここ日本でも実現したい」ということです。たとえばアジア太平洋地域における販売台数は2016~17年が4165台、2019~20年は7843台と、実に88%の増加率を達成しているのです。その内、6.9%のシェアを中間排気量のモデルが獲得しているとのことで、ますますの充実が期待できそうです。現在、日本に導入されているモデルは、いずれもノスタルジックな空冷エンジンながら、厳しい環境基準をクリア。今後も、ちょっと注目したい楽しみな輸入ブランドです。

【ハンター350】
価格:65万7800円~(税込み)
ボディサイズ(mm):全長×全幅×全高:2,100×800×1,055
シート高:790mm
ホイールベース:1,370mm
車重:181kg
駆動方式:チェーン駆動
トランスミッション:5速MT
エンジン:空冷4ストローク単気筒SOHC 349cc
最高出力:14.9kW(20ps)/6,100rpm
最大トルク:27Nm(2.8kgf・m)/4,000rpm
燃費:2.8l/100km(100km走行時の燃料消費量)

【プロフィール】
佐藤篤司(さとう・あつし)/自動車ライター。男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書『クルマ界歴史の証人』(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

お尻がちょっと持ち上がったスタイルも軽快感があって、どんなシーンにもしっくりくる

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