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橋下徹氏が指摘、維新に足りない“パーパス”「人生を懸けてでもやるという熱量を持てる看板政策がない」

緊急対談

緊急対談

岩田:私個人としては、維新は憲法改正を掲げるべきだと考えています。

橋下:それはありますね。ただし、僕は理念的な改正には意味がないと思っています。安倍(晋三)さんは9条で自衛隊を明記すると主張していましたが、それで現実に日本の安全保障や防衛がどう変わるのか見えなかった。

 一方で、いきなり完全な軍事力を持てるような、いわゆる“櫻井よしこさんタイプ”の改正の訴えだと、国民はついてこないでしょう。

岩田:具体的なビジョンを示す必要があるということですね。

橋下:9条については、僕は有事の際の自衛隊の行動についてネガティブリスト方式にできる憲法改正を提案しています。自衛隊がやってはいけないことを自衛隊法でリストアップする。今の自衛隊法はポジティブリスト方式で、できることが書いてありますが、それだと有事の際に想定外の事態が起きると、法律に書いてないからできないという状態に陥る。在外日本人の救出でいつもそうなります。

 だから、法律で禁止した行為以外は基本的に自由にできるようにする。このようなネガティブ方式を採ろうと思うと9条改正の必要性が浮かび上がってくるんですよね。結論としては櫻井よしこさんと同じになると思うのですが、国民への訴え方が大きく異なります。

岩田:なるほど。橋下さんとしては、課題を解決できるような現実的な改正案を維新には掲げてほしいということですね。

橋下:そうです。あくまで無責任なコメンテーターの一意見ですが。

第2回に続く

【プロフィール】
橋下徹(はしもと・とおる)/東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、1997年弁護士登録、翌年橋下綜合法律事務所設立。大阪府知事、大阪市長を歴任。地域政党・大阪維新の会を結党。その後国政政党・おおさか維新の会の初代代表に就任。2015年12月に政界引退。

岩田明子(いわた・あきこ)/千葉県出身。東京大学法学部卒業後、NHK入局。2002年、安倍晋三氏の番記者に。官邸や政党担当の他、外交取材多数。2013年から政治担当の解説委員を兼務。2022年7月、NHKを退局。写真の衣装はブラウス:ATTRANGES、stylia、イヤリング:jinjin。

※週刊ポスト2023年6月30日・7月7日号

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