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広末涼子の「CM違約金」報道を真に受けてはいけない 元広告会社社員が明かすCMギャラの決まり方

CMギャラは寿司屋の「時価」のようなもの

ショートカットが眩しい!CMに引っ張りだこだった10代の頃の広末涼子のあどけない笑顔

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 この手の報道は、「大谷翔平がFA移籍する場合、○年○億ドル契約になるだろう」と事情通的な人の発言を報じるものに近いです。これと同様に、「一応広告業界関係者の言質は取ったからね」ということをベースに「違約金○億円!」記事は作られる。両者の違いは、FA報道は「敏腕代理人○○氏の見立て」などとソースが明示されている一方、違約金記事に登場するのは「広告代理店関係者」で信憑性が薄い。

 さらに、違約金に関しては単純ではない分、事実に即して報じるのは難し過ぎる。冒頭の引用記事でも登場したように「日割」で違約金を返してもらうということもあるでしょうし、全額返還させることもある。さらには契約期間が終わりに近いため違約金は取らず「貸し」を作り、その後同事務所との交渉を有利にしようと考えるケースもある。そして損害額を算出して、契約料よりも多い額を請求する場合もある。すべては「契約次第」なのです。

 だから「違約金○億円」という記事が安易に成立するのは不自然なのです。当然「○億円か」というふうに「か」を入れて、断定的に書かないようにしていますが、当事者からすると「いや、全然違うのだが……」となることもあるでしょう。

 たしかに、キャスティング会社や広告会社キャスティング部門では、エクセルで「ギャラ目安表」が作られています。これは、「絶対その通りではないものの、営業担当の参考にすべく作っているもの」です。

 なぜ「絶対その通りではない」ということになるかといえば、CMにおける芸能人のギャラというのは、いわば寿司屋の「時価」に似ているからです。事務所は日々移り変わる芸能人の市場価値を判断しながら、CMの契約金を設定します。

 たとえば、あるイケメン俳優・Aが、連ドラに出た結果、大ブレイクしたとします。その後の作品でも評価を高める。すると、月末に同事務所から広告会社に連絡が来るんですよ。それは一体どんな電話かといえば、次のようなものです。

「今、ウチのAと契約すると○千万円ですが、来月からここに1000万円上乗せします。もし、Aと契約するのであれば、今月中に契約した方がいいですよ」

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