藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

“欧米を上回る勝率”と金融庁もお墨付き 日本株アクティブ投信が「見直された理由」と「選ぶ際の注意点」

 ニッセイ基礎研究所の推計値では、直近5月に、日本株のインデックス型投信から約2000億円が流出した一方、アクティブ型は700億円強と約5年ぶりの流入額になっています。この結果は、金融庁のレポートも影響しているのかもしれません。

 つみたてNISA(少額投資非課税制度)の利用者が増えるのにともなって、長期投資においては「コストの安いインデックス投信が優位」との認識がメジャーとなっています。たとえば、つねに人気ランキングの上位に位置する「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、5月末の残高が2兆円の大台を上回りました。その流れは、日本株についても同様で、2018年以降、アクティブ投信から約8600億円の資金が流出。一方のインデックス型は約2000億円の流入超となっています。

 そんなこともあって、日本株のアクティブ投信の勝率が高いというのは、非常に意外だったのです。

日本株のアクティブ投信が強い理由

 では、日本株のアクティブ投信が強い理由は、どういったところにあるのでしょうか。そこには次のような構図も影響していると分析しています。

【1】東京証券取引所による「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ是正要請」したことで、日本企業が株価を上げることに注力し始めた。

【2】【1】によって長年放置されていた割安株への見直し買いが入り、アクティブ投信の魅力が高まっている。

【3】日本の株価指数には、財務や収益に問題をかかえていて本来は上場廃止にすべきような企業も組み込まれており、インデックス投信は、そういったよろしくない企業も含めて買う必要があるので、パフォーマンスの足を引っ張られる。一方、アクティブ投信は、そうした不良銘柄への投資を避けることができるので、インデックス投信に勝てる確率が上がっていく。

 ちなみに米国では、上場基準を満たさない企業は、すぐに上場廃止となります。そのためつねに優良な銘柄ばかりで指数が構成され、アクティブ投信がインデックス投信に勝つのがむずかしくなります。

それでもアクティブ投信“全力買い”は高リスク

 日本株のアクティブ投信は優位といえども、すべてのアクティブ投信が優秀な成績というわけではありません。長期でみた場合は、アクティブ投信の7~9割が市場の平均に負ける傾向にあり、まちがった投資信託を選んだ場合は、目も当てられません。

 とくにテーマ型のアクティブ投信は、テーマの流行が去るとともに資金が流出し、その後浮上できないこともあります。純資産額が右肩上がりで増えているかどうかは、選択の目安となるでしょう。

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