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日本で女性議員が増えないことの弊害 「女性にしかわからない問題は議論されない」現実がある

現役女性国会議員114人アンケート永田町「ジェンダーの壁」(その1)

現役女性国会議員114人アンケート永田町「ジェンダーの壁」(その1)

現役女性国会議員114人アンケート永田町「ジェンダーの壁」(その2)

現役女性国会議員114人アンケート永田町「ジェンダーの壁」(その2)

現役女性国会議員114人アンケート永田町「ジェンダーの壁」(その3)

現役女性国会議員114人アンケート永田町「ジェンダーの壁」(その3)

岸田内閣の肝いり「少子化対策」はなぜ迷走状態になったのか

 男社会が生み出した“忘れられた問題”を象徴するのが少子化だ。日本で2022年に生まれた子供は80万人を割り、国立社会保障・人口問題研究所の予測より8年も早いペースで少子化が進んでいる。

 今年1月、岸田首相は「異次元の少子化対策」への挑戦を表明し、6月下旬に閉会した通常国会では論戦が繰り広げられた。

「防衛や厚生労働などは関連団体が多く、既得権益がある分野なので政治家はすぐに動きますが、女性や子供が関連する分野は“カネにも票にもならない”と長年、軽視されてきました。それでも少子化はいよいよ国の存続にかかわる事態となり、無視できない状況になってきた。働く女性が増えた社会で、少しずつ問題視する声が大きくなってきた外圧も、岸田内閣が着手したきっかけになったのでしょう」(大門さん)

 ところが、である。岸田内閣が打ち出したのは経済支援の拡充や、産後ケアサービスの充実、子育てしやすい働き方改革など、極めて当たり前のことばかり。「いったいどこが異次元なのか」「切迫感が感じられない」と子育て世代からは疑問が噴出。

 かと思えば、7月12日には小倉將信こども政策担当相が「Jリーグの試合観戦で子連れ客を優先する」と、謎の少子化対策を発表して失笑を買うなど、肝いりの改革はすでに迷走状態となっている。国民民主党の伊藤孝恵参議院議員が語る。

「これまでの政治は、女性に家庭内の家事、育児、介護の一切を任せ、自助・共助を効かせることによって、公助である国の福祉予算を軽減する政策を行ってきました。少子化は、固定化された性別役割分担意識や男女不平等、長時間労働や非正規雇用、多様な家族の形を認めてこなかったわが国の大きな病による合併症だと理解し、政策的手当をしなければ、社会は到底変わりません」

 現場を知る女性がいくら政策実現を訴えても、多くの男性議員は聞く耳を持たず、心の奥底で「女のくせに」と思っている空気が透けて見えるではないか──。

【プロフィール】
田村智子(たむら・ともこ)/参議院議員。1965年、長野県生まれ。早稲田大学卒業後、1995年から日本共産党国会議員団事務局に勤務。2010年参議院議員選挙で初当選。2019年には「桜を見る会」を巡る質問で注目を浴びる。2児の母。

伊藤孝恵(いとう・たかえ)/参議院議員。1975年、愛知県生まれ。1998年にテレビ大阪に入社、資生堂、リクルートを経て、2016年参議院選挙で初当選。現在、党副幹事長。超党派ママパパ議員連盟事務局長、金城学院大学講師など。2児の母。

※女性セブン2023年8月10日号

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