家計

【言われてみれば不思議】たばこの価格は全国どこで買っても同じなのはなぜか? JTに聞いてみた

紙巻たばこ一箱あたりの税負担率は6割超

 なぜたばこの価格は全国どこでも一緒で、割引や上乗せも「ない」のか。日本たばこ産業(JT)の担当者によれば、「たばこ事業法により、小売定価が定められている」ためだという。

 たばこ事業法とは、1984年に施行された、“たばこ産業の健全な発展と国の財政収入の安定的確保を目的とする法律”。たばこ専売制度の廃止に伴い制定されたもので、葉たばこの生産と買い入れ、たばこの製造・販売などについて規定している。

 そしてたばこの価格が全国一律なのは、このたばこ事業法の「小売定価(小売定価以外による販売等の禁止)」第三十三条及び第三十六条に根拠がある。品目ごとに小売定価を定めて財務大臣の認可を受けなければならないこと、そしてその定価以外で販売してはいけないことが明記されているのだ。割引、あるいは上乗せができないのも、この法律に由来する。

 またたばこの価格は税金が多く含まれていることでも知られ、紙巻たばこ一箱あたりの税負担率は実に6割を超える。内訳は国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税、消費税の4種類で、海外旅行や出張時に免税店で買うたばこは、これらが免税されるから安くなる。たとえばメビウス1カートンを国内で買うと5800円だが、免税店では3900円(メビウスオプションスリムのみ3600円)という価格。

 九州でたばこ店を営んでいた女性は、「自治体が『たばこは地元で買って』と呼びかけていたことがありましたね。地方税が入ってくるからでしょう。やはり自治体にとってたばこ地方税は、収入源として大きいのだと思います」と話す。

 ちなみに自営業の30代男性・Cさんは、「買ったものの、好みではなかったたばこをメルカリで売ろうと思って出品したら、運営からNGだと削除されてしまった」という経験を明かす。これは安く売ってはいけないということ以前に、たばこ事業法の第二十二条により、小売販売許可のない者が販売できないと定められているため。

 売る場所も、価格も厳しく決まっているたばこ。前述のCさんは、「吸う場所もどんどん減ってきていていますよね。たばこの税金で喫煙所でも作ってくれたら、歩きたばこなんかも減ると思うんですが……」と嘆き節だった。(了)

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。