中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

令和の時代に「ファミコン記事」が人気を博す理由 いつも書き込まれる定番コメントの数々

『ファミスタ』『キン肉マン』『がんばれゴエモン』『スパルタンX』など、今も現役の筆者のファミコンソフト

『ファミスタ』『キン肉マン』『がんばれゴエモン』『スパルタンX』など、今も現役の筆者のファミコンソフト

ブロッケンJr.の毒ガス攻撃が強過ぎ

 たとえばファミコンの話題が出た時に書き込まれる定番コメントは、ざっと以下のようなものがあります(私の趣味の問題もあり、ちょっと偏りがあるのはご容赦を)。

・『スーパーマリオブラザーズ』では「うんこマリオ」がいたよな
・『燃えろ!!プロ野球』はバントでホームランになる
・クソゲーのトップクラスは『たけしの挑戦状』『カラテカ』『バンゲリングベイ』『いっき』『スペランカー』
・いや、『いっき』と『スペランカー』は面白いぞ! 特にスペランカーの素晴らしさを分からないヤツはニワカw
・『スペランカー』の主人公、ちょっとした段差で死ぬって弱すぎ(※これにより、故障しがちなプロ野球選手などは、ネットで「スペ体質」と呼ばれるようになった)
・『キン肉マン マッスルタッグマッチ』でブロッケンJr.の毒ガス攻撃が強過ぎ
・犯人はヤス(※元ネタは『ポートピア連続殺人事件』で、実際の事件で犯人がなかなか特定できないような時に書き込まれる)
・ゆうべはおたのしみでしたね(※元ネタは『ドラゴンクエスト』で主人公がローラ姫と宿に泊まった翌日、宿屋の店主から言われるセリフ。ちょっとアダルトな話題の時に書き込まれる)
・『ドラゴンクエストII』、最終地点であるロンダルキアに到着した時、アークデーモン、ギガンテス、サイクロプス等、強過ぎる敵が登場して、難解過ぎる洞窟突破が無になる件。そして、もっとも恐れられていたのは「ブリザード」による即死魔法「ザラキ」の連発
・『ドラゴンクエストII』のサマルトリアの王子が呑気過ぎて弱くてしかも「トンヌラ」という間抜け過ぎる名前がランダムで選ばれる。トンヌラはその後人気の名前に
・『ドラクエIII』、最大の敵はゾーマではなく、母ちゃんがコードに引っ掛かって「デケデケデケデケデー」と呪いの音楽が鳴り、「ぼうけんのしょはきえました」となること
・『ドラクエIII』『ドラクエIV』の発売当日は会社や学校をさぼり行列ができ「抱き合わせ販売」が横行した
・『バルーンファイト』で2人同時プレイをした時、敵よりも互いを潰しあってリアルファイトに発展する
・初代『ファミスタ』では「ぴの」の足が速すぎ、「えがわ」のカーブが曲がり過ぎる

 ──いかがでしょう? このように、あの素晴らしき日本が世界の超先進国だった頃の甘美な思い出とともに、ファミコンの話題が令和の時代に蘇っているのです! ただ、それは裏を返せば、就職氷河期世代でもある我々が甘美な思い出を見出そうとすれば、結局1980年代~1990年代中盤ぐらいにすがるしかないということ。ファミコン記事の人気っぷりはそんな事実を示しているのではないでしょうか。あぁ、悲しいことだ。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『捨て去る技術 40代からのセミリタイア』(インターナショナル新書)。

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