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かつての“駅そば日本一”が絶滅の危機から復活 日本最北端の地で「新・音威子府そば」を提供する店主の思い

『めしや満腹IKERE』 音威子府駅を出ると、のぼりが目に飛び込んでくる

『めしや満腹IKERE』 音威子府駅を出ると、のぼりが目に飛び込んでくる

音威子府村でそばを提供することの意味

 音威子府村でゲストハウスを運営する竹本氏がIKEREをオープンさせたのは今年1月。ただし当初そばを提供する予定はなく、チャーハンやカレー、トンカツといったメニューを想定していたという。

 その時、東京と千葉では、音威子府そばを看板メニューとして提供してきた二つの飲食店の店主たちが、独特の色と食感を再現した「新・音威子府そば」を共同開発していた。今年2月、その開発者らから竹本氏のもとに協力依頼が届く。竹本氏はそばの試作品をゲストハウスの宿泊者に提供し、その反応や感想を逐一報告してレシピのブラッシュアップに尽力するようになった。そして今年6月、竹本氏の協力や畠山製麺社長のアドバイスも得て、「新・音威子府そば」が完成。IKEREでもメニューに掲載する運びとなった。

 音威子府そばの魅力について、竹本氏は次のように語る。

「なんといっても、そばの色が“黒い”。そばといえば白いものが多くて、田舎そばのように色の濃いものもあるけど、ここまで濃いのはお目にかかれない。そばの実をほとんどそのまま使ってるから、色も濃い、味も濃い、風味も濃い」(竹本氏、以下「」内同)

音威子府村の『めしや満腹IKERE』代表・竹本修氏(左)と、店員の北原さん

音威子府村の『めしや満腹IKERE』代表・竹本修氏(左)と、店員の北原さん

 関東で復活し、ネットでも注文可能な「新・音威子府そば」だが、竹本氏はやはり音威子府で食べることに意味があると考えている。

「ネットで買っても麺自体は同じかもしれないけど、食べる時の気分は全然違う。水や空気が違うから、感じる味も変わってるかもわかんない。例えばツユにしたって、音威子府の水を使っているわけですし、同じ麺でも、音威子府で茹でるのと、ほかで茹でるのでは茹で上がりが違うと思いますよ」

 長年愛されてきた音威子府そばが、地元で復活したことへの反響は大きい。

「『もう食べられないと思ったのが、こんなに早く食べられるようになって嬉しい』とか、『誰かやってくれないかと思ってた』とか、『懐かしい』とか。各々の心に響くものがあるみたいです。

 やっぱり何十年も昔から食べている人が『おいしいね』と言ってくれるのは、素直に嬉しい。一番味を知っている人たちですからね。600人くらいしかいない村ですが、この音威子府そばのブランドを引き継いでいきたいと思います」

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