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「増税メガネ」と揶揄される岸田首相、社会保険料負担増も画策か 「第3号被保険者の制度改革」議論で隠されていること

「主婦がタダ乗り」説をベースに議論する危うさ

 岸田首相は第3号被保険者の制度そのものを変えないと「みんな納得しない」とも発言していた。根底にあるのは「保険料を払わないのに年金をもらえるのはズルい」というイメージだろう。ただ、前出・北村氏は「専業主婦などの第3号被保険者が年金制度に“タダ乗り”していることを議論の前提にするような最近の風潮には違和感がある」とも話した。

「専業主婦を想定した第3号被保険者の制度がスタートしたのは1986年のことですが、その際の年金改正で第2号被保険者(会社員の夫など)の支払う保険料率が10.6%から12.4%へと約2割も引き上げられています。そして、第3号被保険者の年金給付などを賄うために、第2号被保険者の支払う保険料からの基礎年金拠出金がある。

 つまり、現在の専業主婦・主夫らの年金保険料は、すでに会社員である配偶者が負担するかたちになっているとも言えます。“みんな、専業主婦(主夫)やパート妻(夫)がタダ乗りだと、納得できませんよね?”という印象をベースに議論の流れが作られていくのは、ちょっと違うのではないかと思います」

 もちろん、独身の会社員が既婚の会社員の配偶者の年金保険料を負担するような構図となっているなど、「夫婦・家族」を基本とした年金制度に問題が生じているのは事実だろう。ただし、過去の保険料率アップをなかったことにして、新たに第3号被保険者に負担を求めるような政権の姿勢も許容できまい。「増税」だけでなく「保険料負担増」までなし崩しに進めようとすれば、岸田政権への支持はますます離れていくのではないか。(了)

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