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全国で増加する「無縁墓」、自治体や寺院が管理費用や撤去費用を負担している現実 厄介なのは「放置して逃げ切ろうとする人」

「無縁墓」の問題が全国的に問題になっている

「無縁墓」の問題が全国的に問題になっている

 お墓が遠いと、ついつい手入れが行き届かなくなるもの。そんな面倒を避けるために“墓じまい”をする人が近年、増えている。厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、墓じまいを行なった人はここ10年で1.5倍に増加。2011年度の墓じまい件数は約7万7000件だったが、2021年度は約11万9000件に達した。

 様々な困難があるからといって、墓じまいを先送りにして放置すると、先祖代々の墓が「無縁墓」になりかねない。その増加は、全国的に問題となっている。総務省が初めて行なった実態調査の結果が今年9月に公表されたが、公営墓地を持つ全国765自治体のうち58.2%が無縁墓を抱えているという。20件の無縁墓がある霊園を管理する神奈川県相模原市公園課の担当者が言う。

「墓を放置されてそのままにされると、撤去ができなくて新しい墓を作れず、次の人が入れなくなります。また、そういった墓の利用者は管理料を滞納しており、1平方メートルあたり年間500円が何十年も払われていない場合があります。そういった費用を市が肩代わりしている形になる」

 相模原市では無縁墓と認定すれば合祀墓に合葬できる制度があるが、その認定自体が難しく、これまでにたった2件しか認定されていないという。

「戸籍を辿って調査し、無縁墓の親族を探していくには多くの労力が必要で、そのままにせざるをえないケースが多いのが実情です」(同前)

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