中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「同級生のSNSを見ると少し寂しい…」高校卒業後フリーターになった19歳男性の“新たな人間関係が構築できない”焦り

大きな組織ならではの良い点も覚えておいてほしい

 ここまで私は2人のやり取りを聞いていたのですが、確かにワーキングホリデーで海外生活を体験し英語を覚えるというのは、これからの時代を生きていくうえで理に適っている選択だと感じました。というのも、海外は日本とは異なり賃金が上昇していますし、しかも今は円安。カナダやオーストラリアでバイトをした方が日本で正社員になるより稼げる可能性まであります。

 ここで私はA氏に、海外に詳しくなることの利点を挙げました。そのひとつが「現地コーディネーター」の仕事です。先日、知り合いの編集者がタイ・バンコクで10日ほど現地取材をしてきました。その際、現地在住の日本人コーディネーターがすべての取材先を手配してくれ、しかも通訳もしてくれた。それなりの報酬は支払ったようで、「A氏も将来的にカナダやオーストラリアでその手の仕事に就くことも可能では?」と提言しました。

 これに続け、B氏は「ただ、覚えておいてほしいことがあります。あなたがそうやって道を一人で切り拓くのはとてもいいことですが、そうはいっても大組織は否定しないでくださいね」と助言しました。

「私は小さな店で働いてから大きなホテルチェーンに入りました。そこで良かったのが、人間関係が広がった点です。人脈がどうのとかではなく、小さな店では誰か一人とでも人間関係が壊れてしまうと、もう働けなくなる。でも、大きな組織であれば、一人と関係が悪くなっても、他にも大勢いるから味方もできたりして快適なんですよ」

 A氏はこれらの話に頷きながら「気がラクになりました」と言い、前よりも大きな笑顔を見せてくれました。A氏のこれからの人生に幸多かれ。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など多数。最新刊は『日本をダサくした「空気」』(徳間書店)。

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