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人口減少時代でも医学部定員は増加…2030年に「医師不足」より深刻な「医師余り」時代がやって来る

長時間労働などの“自己犠牲”は通用しくなる

 診療科による差も大きい。仕事がハードな外科や、少子化で需要が落ち込んでいる産科、小児科などのなり手が少ないためだ。

 反対の声をさらに大きくしているのが、2024年度からの働き方改革だ。医師の労働時間に罰則付きの上限が設けられることで医師不足に拍車がかかるとの警戒感である。医師1人あたりの仕事量が増えたことで人手不足を招いている面もあるためだ。これまでは現場を支える医師が長時間労働をすることでしのいできたが、こうした自己犠牲的なやり方は通用しなくなる。

 医学部定員の削減に反対するこれらの事情は理解できるが、だからといって水膨れしたままにするわけにはいかない。繰り返すが、問題の本質は医師の偏在である。

後編に続く

【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。主な著書に、ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。

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