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日本の気候「二季化」進行で懸念される食への影響 牛肉・牛乳は生産量減、“北方系”の海の幸もピンチ

「二季化」が進めば家畜・家禽の生産量が低下する懸念も(写真:イメージマート)

「二季化」が進めば家畜・家禽の生産量が低下する懸念も(写真:イメージマート)

 地球温暖化がもたらした異常気象が多発し、もはや普通になりつつある。元来、日本には豊かな四季があり、季節の移ろいを感じられたが、昨今は春や秋が極端に短く、暑すぎる夏と温暖化した冬が数か月続く「二季化」現象が起こっている。二季化は日本の食にどんな影響を与えるのか──。

【米・果実】暑さの影響で1等米が減少。一方、南国系果実が国内で栽培可能に

「2023年の夏は過去最高に暑い夏で心配されましたが、全国的に米の生産量を示す作況指数は101とほぼ平年並みで、米の収量という点ではまずまず。しかし問題は、出来栄えの“質”に表れ、1等米の比率は過去低い年でも70~80%はあったのに、酷暑の昨年は約60%を記録。これは過去最低の値です」

 と話すのは、農研機構農業環境研究部門(農研機構=正式名称「国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構」。食料・農業・農村に関する研究開発を行う機関)で気候変動適応策研究領域長を務める西森基貴さんだ。

酷暑が続くとデンプンの蓄積が不充分で白濁して見える白未熟粒が急増する

酷暑が続くとデンプンの蓄積が不充分で白濁して見える白未熟粒が急増する

 米は等級検査で1等米、2等米、3等米といったランク分けがされ、等級が高いほど高い値段で売れる。等級検査では形が美しく透明な“整粒”が70%以上ないと1等にはならない。

「昨年は穂が出てからの約1か月間が暑すぎ、白濁する白未熟粒が多かったのが品質低下につながりました」(西森さん・以下同)

 CO2増加に高温の影響も加えた最新予測では、何も対策しないと1981~2000年を基準に2100年末の収量は80%に減り、白未熟粒率は今世紀半ば20%、今世紀末40%に増える懸念がある。

「その対策には、暑さに強い高温耐性品種への切り替えや、田植え時期をずらす方法などが挙げられます」

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