1974年度生まれの男性4割、女性は6割近くが月額10万円未満に
というのも、就職氷河期世代は非正規雇用が多く、年金保険料の納付が途切れたり、支払うことが出来なかったりして年金加入期間が短い人が少なくないからだ。正規雇用であっても賃金上昇カーブが抑制され、十分な老後資金を蓄え切れないまま定年退職を迎える人が相当数出てくることが予想される。
賃金が抑制された影響は、そのまま年金受給額に反映する。しかも年金制度は現行のままならば減額調整が2057年度まで続く。今後の高齢者には、現在の高齢者と比べて豊かとは言い難い状況の人が増えるということである。
その姿は、厚生労働省が7月に公表した年金財政検証に見て取れる。
年代ごとに65歳時点で受け取る年金額(現在の物価水準ベース)の見通しを比較しているが、経済が大きく成長しない場合には就職氷河期にあたる1974年度生まれの39.1%が月額10万円未満になると試算しているのだ。このうち18.1%が月7万円未満だ。月5万円未満も5.7%である。女性に限れば、57.1%と6割近くが月額10万円未満になると予測している。
もちろん就職氷河期世代だけが特別な状況にあるわけではない。その前の世代にもデフレ経済の影響などを受けて、勤務先企業が倒産したり、リストラに遭ったりして転職や不安定な雇用に追いやられた人は少なくない。
これから高齢者に加わる世代というのは、「新卒で入社した会社に定年まで勤めあげる」といったひと昔前の世代においては常識と考えられてきたことが当たり前ではなくなった世代でもあるのだ。
それは、今後の高齢就業者を取り巻く環境が激変することを意味している。年金受給額も老後の蓄えも十分でなく、「食べていくために働き続けなければならない」という高齢者の激増が予想される。