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《選択的夫婦別姓議論》「旧姓を使用できる範囲を拡大すればいい」で不便は解消されない 「旧姓使用を認めない職場は半数以上」の現実、国際社会でも通用せず

諸外国の結婚と姓の関係

諸外国の結婚と姓の関係

 国内では30年近く議論が続いているわけだが、いまや先進国で夫婦同姓を強制するのは、日本だけだ。

 各国の女子差別撤廃に向けた活動の審査・助言などを行う、国連の「女子差別撤廃委員会」のメンバーに2018年に選出された、亜細亜大学国際関係学部教授の秋月弘子さんが世界の結婚と姓の“スタンダード”について語る。

「1990年代から各国で制度の見直しが進み、現在では欧米のほとんどの国で夫婦別姓が選べます。アメリカでは夫婦2人の姓を合体させる『結合姓』や、まったく新しい姓を名乗る『創作姓』も可能で、日本と距離や文化が近い中国や韓国も、結婚後の姓については夫婦別姓が当たり前という価値観を持っています」

いつまで経っても夫の姓に慣れない

 結婚したときは、妻が夫の姓に変えるのが当たり前だったいう埼玉県在住の50代女性が話す。

「あのときは選択肢がなかったため夫の姓にしましたが、いま思えば、夫婦別姓が選択できていたら違っていたのかもしれません。

 私はひとりっ子だったので、自分が姓を変えればこの姓は消えてしまうという葛藤があったんです。でも、それを夫に相談しても『男が姓を変えると世間体が悪いから』と取り合ってくれなかった。仕方なく私が折れて姓を変えました。

 時間が経つにつれて彼の姓に慣れていくかなと思いましたが、実際は真逆。病院や子供の学校行事などで夫の姓で呼びかけられても『誰のこと?』ととても自分事とは思えない。夫の姓で呼ばれるたびに自分の姓が喪失していくような気持ちになりました」

 一方、やや特殊な理由で改姓をためらった人もいる。東京都在住の50代女性が名残惜しそうに語る。

「結婚前のフルネームは、画数による姓名判断の結果が最高で、とにかく気に入っていました。実際独身時代はかなりの幸運に恵まれていたのに、改姓した名前の画数は運気が弱いと診断されてしまい……。最後まで旧姓を手放すことに前向きになれませんでした」

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