サンマかクジラか選べない
ハーブの香り豊かな蔵前エール
彼が頼んだのは蔵前エールというクラフトビールだ。
「これ、すっきりしていて、すごくうまいですよ!」
と、さっそく興奮気味なので、ひと口いただくと、たしかにうまい。香り豊かで、日ごろ飲んでいるオーソドックスなラガービールにはない魅力もある。こんな新しい発見ができるのも、とにかく品ぞろえ豊富な酒屋さんの店頭で飲むからこそだ。
おつまみの追加は、ビーフジャーキーならぬチキンジャーキー。干し肉は牛であれ、鶏であれ、酒に合うようだ。コロナの後はウイスキーのハイボールにしようかと迷うところだが、ふと見ると、店内中央の陳列スペースに、スナックと並んで各種缶詰が積まれている。
ケンちゃんもここに注目し、さっそくあれこれ眺めまわしてから言った。
「サンマのかば焼きと、クジラの大和煮。どっちがいいですか」
おお、鋭いところを突いてきた。にわかに選べぬと私も席を立って缶詰に見にいく。
すると、驚いたことに、豚ホルモン辛みそ煮込みとか塩麹とりレバーとか、国分の「缶つま」もあれば、ノザキのコンビーフなど、懐かしい一品もある。
悩ましい。実に、悩ましい。
「任せるよ。サンマもいいし、大和煮も捨てがたい」
ということで、ケンちゃんが選んだのはクジラだった。うむ。これも懐かしいぞ。大和煮なら、飲むは日本酒か。
魅力的すぎる缶詰コーナー
これに決めた!