「洗濯物を取りに来ない客」にどう対応するか(イメージ)
さまざまな事業者において、業務上「お客様の電話番号を教えてほしい」と依頼するケースも出てくるだろうが、個人情報の取り扱いにおいては適切な管理が求められる。そこで考えたいのが、個人情報を取得せずに済ませる方法だ。実際の法律相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
私はクリーニング店を経営、弟はカラオケ店でバイト中です。そんな2人のグチは、洗濯物を取りに来ない、部屋に忘れ物が多い、そのため、お客様に電話番号などの個人情報を教えてほしいと頼むも拒否されてしまうこと。やはり、このご時世ですから、店の者がお客様に電話番号などを聞くのは無理ですか。
【回答】
クリーニング店の顧客が、忘れた洗濯物を処分されても文句を言わない、また、カラオケ店の利用者が、忘れ物の連絡は不要というのですから、その約束を確実に残しておけば十分だと思います。
クリーニング店の場合、業者の組合で定めた「クリーニング事故賠償基準」が消費者相談などでも利用されています。この基準では、クリーニング業者が洗濯物を受け取ってから、1年を経過すれば洗濯物を紛失しても基準による賠償の支払いを免れるとの条項があるくらいです。洗濯物預かり証と、その控えに例えば「ご連絡先非開示につき、×月以内に引き取らない場合は、廃棄することを了承します」と書き加え、本人のサインをもらっておけば万全でしょう。
カラオケ店でも持ち主不明の忘れ物があった場合、所有者の占有を離れた遺失物として『遺失物法』に従い、警察に速やかに届け出ればよいのです。ただ、カラオケ店は不特定多数の人が利用する施設なので、忘れ物を店に掲示したり、あるいは記録し、申し出のあった人に記録を閲覧させることが必要となります。このように、個人情報を提示してもらわなくても対応できます。それでも心配なら、取引を断わればよいだけ。