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名医が教える生活習慣病対策

「まずは食生活の改善から」動脈硬化を進行させる「脂質異常症」の予防・治療ポイント 食後の血糖値上昇を抑制するために知っておきたい「食品別のGI値」【専門医が解説】

GI値とは、食品の炭水化物50gを摂取した際の血糖値の上昇の度合いを数値化した指標(日本Glycemic Index 研究会「日本人の計測による日本食のGI」より)

GI値とは、食品の炭水化物50gを摂取した際の血糖値の上昇の度合いを数値化した指標(日本Glycemic Index 研究会「日本人の計測による日本食のGI」より)

 食事にまで気の回らないビジネスマンは、揚げ物や肉類などの摂取が多く、悪玉のLDLコレステロールの値を上げる食生活になりがちだ。食後の血糖値の上昇を抑えるために参考にしたいのがGI値。脂肪異常症の予防と治療には、毎日の食事と運動習慣が欠かせないという──。シリーズ「名医が教える生活習慣病対策」、糖尿病の研究を長年続ける昭和医科大学医学部・山岸昌一教授が解説する。【脂質異常症と動脈硬化の関係・後編】

コレステロールが高くなりやすい人

 若い時からLDLコレステロール値が異常に高く、家系に心臓病が多発している場合、「家族性高コレステロール血症」という遺伝性疾患が疑われます。家族性高コレステロール血症は300人に1人程度と比較的高頻度で発現する疾病で、現在は遺伝子検査も行なわれています。

 遺伝性疾患以外にも、LDLコレステロール値が高くなりやすい人がいます。体質的に肝臓でコレステロールが作られやすかったり、食事からコレステロールを吸収しやすいタイプです。LDLコレステロール値が高めの人は、食物からの飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、コレステロールの摂取を控える生活習慣を意識することが重要です。

 一般的に、肉製品や脂肪分の多い食材を高温で揚げたり、焼いた際、AGE(終末糖化産物)が多く生成されることが知られています。AGEは、体内で形成されるだけではなく、食品からも体内に摂り込まれます。

 いわゆるファーストフードは高カロリー・高脂肪で、食材を高温で加熱調理した物が多く、AGE含有量も高くなるので努めて避けようにしてください。

 コレステロールの劣化にも気をつける必要があります。カルボナーラなど、脂肪分の多い料理を電子レンジで再加熱すると周囲に黄色い脂が付着していることがありますが、これは劣化変性したコレステロールです。できるだけ劣化変性したコレステロールを含む食品は摂らないようにすべきでしょう。

 糖化を予防するためには食後の血糖値の上昇を抑えることが大切で、GI(グリセミック・インデックス)という指標が参考になります。GI値は、それぞれの食品がどの程度、食後に血糖値を上昇させやすいかを数値化したものです。

 数値が低いほど食後の血糖値の上昇が抑えられ、AGEの形成が抑制されることになります。野菜や全粒粉の穀物などが代表的な低GI食品とされ、1日の食事の中にうまく取り入れることで糖化を抑制することができます。

次のページ:脂質異常症の予防と治療の基本は、「食事」「運動」「禁煙」
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