中国ネット通販大手「JDドットコム」は「輸出企業の迅速な国内市場開拓を支援する」と宣言(Getty Images)
米ドランプ大統領の相互関税政策は、中国経済にどのような影響を及ぼすのか──。2024年の中国小売売上高は48兆7895億元だが、輸出総額はその52%に相当する25兆4545億元あるが、対米輸出に限れば3兆7337億元で8%に過ぎない。中国輸出企業は仮に対米輸出が激減したとしても、国内販売への転換を図ることで活路を見出せるかもしれない。
中国ネット通販大手で商品買取による直接販売に強みを持つJDドットコムは4月11日、自社の公告サイト(微信上の京東黒板報)を通じ「今後1年以内に2000億元(3兆9000億円、1元=19.5円で換算)を下回らない規模の輸出向け商品を国内販売用として購買し、輸出企業の迅速な国内市場開拓を支援する」と宣言している。
「長年輸出業務を行っている企業は優れた生産設備を持っており製品の質は高いが一方で、国内市場には精通しておらず営業経験が乏しいといった弱点がある。そうした弱点を補うために、商務部や各クラス政府部門の指導の下で支援計画を練り、各地で多様なマッチング活動を行う」などとしている。政府からの支援要請があったとみられるが、同社にとっても今回の件はビジネスの幅、規模を広げるチャンスと捉えているようだ。
また、ネット通販最大手のアリババグループでは、国際事業プラットフォームのユーザーに対して、天猫(BtoC)、淘宝網(CtoC)といった国内事業プラットフォームや、工業製品などの卸売業者向けプラットフォームである「1688.com」への登録に関して、専用のエントリーを設け、手続きを大幅に簡素化し、審査を優先させるといった優遇を与えると同時に、企業情報の露出を増やす工夫を凝らしたり、国内営業に関するコンサル支援、資金繰り支援などを展開したりするなど、実務面で細かい支援策を実施するとしている。
地方関連のマスコミ情報を細かく当たってみると、たとえば江西、湖南、湖北、広州、北京などでは、座談会形式で問題点を洗い出し対応策を打ち出したり、交易会などを通じ直接ビジネスのサポートをしたりしている。政府、流通業界が一体となって輸出企業の国内販路開拓を支援している。