“アメ”の裏に潜むiDeCo 加入年齢引き上げという“ムチ”
“アメ”に見える年金改革の裏側にも“ムチ”が潜む。北村氏が続ける。
「今回の年金改正には、掛け金の拠出などに際して税制優遇措置のあるiDeCo（個人型確定拠出年金）に加入できる年齢を65歳未満から70歳未満へと引き上げる内容が含まれています。長く働いて掛け金の拠出を続けられる人にとってはプラスの改正ですが、要は公的年金に頼らずに老後の蓄えを進めろという話です。在職老齢年金の支給カット基準の緩和も、歳をとっても働き続けろというメッセージです」
その先に何が待っているか。北村氏はこう警鐘を鳴らす。
「次回以降の年金改正では、現在は65歳の支給開始年齢を70歳に引き上げる議論が待っているはずです。長く働き、長くiDeCoに加入できるようにする改正もそこにつながる流れです。制度変更の裏にある意図に気づかず、改正の“アメ”の側面ばかり報じるメディアに騙されてはいけません。いかに公的年金に頼らない老後設計をするかが、今後は非常に重要になってくるのです」
「あんこが入ってないあんパン」と批判される年金改革法案だが、“あんこ”がないどころか、国民を苦しめる“毒”入りの年金改革であると認識しなくてはならない。
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※週刊ポスト2025年6月6・13日号
