マイクロソフトが20年にわたる長期契約を結んだスリーマイル島原発(時事通信フォト)
カーボンニュートラル移行に必要な「電源供給」の大問題
カーボンニュートラルを目指す上では短中期的には電炉、長期的には水素還元製鉄が鍵を握ると別稿で書いた(マネーポストWEB『日本製鉄が2兆円USスチール買収に「さらに2兆円の追加投資」、橋本英二会長はなぜそこまで完全買収にこだわるのか? 背景にある日鉄の「カーボンニュートラル」戦略を読み解く』)。その条件となるのが、大量で安定的な低炭素電源だ。
東日本大震災後にいったんすべてが停止した原子力発電所では再稼働の動きもあるが、国内最大の柏崎刈羽原発はいまだ動いていない。
岸田文雄内閣だった2023年に政府は次世代炉の開発を含めた新増設の方針に舵を切ったものの、世論はいまだに厳しい。NHKが今年1月に行った世論調査では、原発の今後の割合について、「増やすべき」は21%に留まり、「今のままでよい」(30%)、「減らすべき」(31%)との間で意見が割れたままだ。
これとは状況が異なるのがアメリカだ。トランプ大統領は、5月23日、原発を増やし、新技術を使った原子炉の導入を促す大統領令に署名した。莫大な電力消費を伴うAI(人工知能)の普及でデータセンターの電力需要が高まっていることを踏まえた措置だ。
データセンターをめぐっては、IT大手マイクロソフトが、スリーマイル島原発の全電力を20年間にわたって買い取る長期契約を締結している。