年内・推薦入試はより学力重視がトレンドに
この入試、2025年度はほぼ基礎学力テストのみが評価対象であった。
今回も基礎学力テスト(200点)に対して書類審査や小論文(計20点)は1割程度の配点であり、基礎学力を重視した総合型選抜であることが分かる。ただし、多面的な視点も組み合わせて総合的に評価する仕組みとしたようだ。
東洋大学は一般選抜でも5科目型入試や、経済学部での数学必須化など、日頃から「基礎学力重視」の姿勢を明確にしており、年内入試においてもこの方針を一貫させつつ、多面的な評価の導入をしようということのようだ。
関東の多くの大学も学力テスト型年内入試の導入を予定しているが、東洋大が「多面的評価を取り入れながらの学力テスト重視」の方針を打ち出したことで、それに倣う大学も多くあるだろう。
関西の大学も今まで学力テストのみで合否を決めていたのが、面接や小論文を課せば準備や実施に負担が起きるのではという懸念の声もあった。しかし、学力テストの事前提出の小論文や調査書を組み合わせる形であれば、そういった問題も解消されよう。
2000年代以降、AO入試で「面接のみ」といった学力を問わない入試を行う大学が増え、文科省は「推薦入試でも学力をちゃんと把握するように」と指導をしてきた。
その流れに学力テスト型の年内・推薦入試はあるように見える。
推薦入試が拡大する中で、「これからは学力ではなく、経験やコミュニケーション能力が重視される」という誤解もあるが、実際には文科省も大学も「基礎学力は重要」という方針であり、今後は学力テスト型の年内入試は拡大していくのではないだろうか。
杉浦由美子氏の著書『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社)
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/受験ジャーナリスト。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『大学受験 活動実績がゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社)が2025年4月に発売。『ハナソネ』(毎日新聞社)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)で連載をし、『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』で記事を書いている。受験の「本当のこと」を伝えるべくnote(https://note.com/sugiula/)のエントリーも日々更新中。