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快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

「ハーレー・スポーツスターS」で“反逆”のカッコよさに浸る 慣れるまで感じていた多少の乗りづらさも「すべて許せる」独自のスタイル

低いシート位置は1Lオーバーのビッグバイクとしては圧倒的といえるほど低く、足着きもいい。都市部をアグレッシブに駆け抜けるカッコ良さがある

低いシート位置は1Lオーバーのビッグバイクとしては圧倒的といえるほど低く、足着きもいい。都市部をアグレッシブに駆け抜けるカッコ良さがある

 ハーレーダビッドソンの長い歴史の中には多くの名モデルが存在する。初代モデルが1957年に登場した「スポーツスター」もその1台。スポーティーな走りと操縦性の良さを実現するだけでなく、ハーレーの中ではリーズナブルなこともあり、60年以上も支持されてきた人気モデルだ。最新の「スポーツスターS」は、長い間搭載してきた空冷OHV、45度V型2気筒という“いかにもハーレー”というエンジンから、2021年、排ガス規制に対応した水冷DOHC、60度V型2気筒エンジンへと切り替えた。ずいぶんと大人しくなった、という人もいるようだが、時代の流れに即した進化を遂げた「スポーツスターS」において、ハーレーらしさはどうなったのか? シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」、今回は自動車ライターの佐藤篤司氏が「スポーツスターS」をレポートする。

ライディングポジションにさえ馴染んでしまえば

 高校時代、いわゆる“番長”と呼ばれる友人がいました。彼は少し変わっていて、取り巻きに囲まれるのを嫌い、いつも1人で過ごしていて、その姿はまさに孤高といった風情です。たまに町で出合うと少年のような笑顔で話しかけてきました。そこには威圧も威嚇も何もなく、おまけにけっこう成績が良かった。当然ですが決して憧れを抱くということではなく、良き友人の1人として過ごしていたのです。今回、久し振りのハーレーとしてセレクトした「スポーツスターS」を目の当たりにしたとき、なぜかは分かりませんが、ふと彼のことを思い出したのです。

 その姿は一般的なイメージで想い描く“堂々たる体躯”のそれではありません。低く、長い(そう見えるだけ)ボディはハーレーの中ではかなりシャープでスポーティーなフォルムです。荒野というより、むしろ都会にこそ似合うようなフォルムで、実に好印象、つまり“分かりやすくカッコいい存在”です。

 一方でそれはビジネスマンやフォーマルな出で立ちが似合う都会ではなく、ちょっぴり影のある、どこかに“力こそ正義”のような空気を感じさせる、鈍い光を放つ都会にこそ似合うようなバイクだと感じたのです。古い友人のことを思い出したのは、そうした空気感を醸し出していたからでしょうか。

 さてスポーツスターSのルーツを求めると1957年に登場した「スポーツスター」の初代モデルに行き着きます。以来、長年にわたりハーレーの“もうひとつの選択肢”のような立ち位置で支持されてきました。そして最新のスポーツスターSといえば“新世代のハーレー像”を牽引する存在として注目されていることが理解できるような佇まいです。“ハーレーの中でも軽量級”といわれるモデルですが存在感はかなり印象的。

 環境性能に即した最新のV型ツインエンジンと先進のボディスタイル。一方でどこかに分かりやすい優等生になったわけではない、といった主張をボディの隅々から感じるのです。そんな見た目にすっかり心を許しながら、走り出すためにシートに跨がりました。

 やはりハーレーといえば低めのシート高と足を置くステップの位置です。ハーレーには大きく分けて、足を投げ出すように跨がる“フォワードコントロール”と、ヒザのほぼ真下にくるぶしが来るようなステップ位置の“ミッドコントロール”のふたつがあります。ちなみに両車の中間的なステップ位置の「ファーザーフォワードミッドコントロール」も一部モデルのオプションとしてあります。

 スポーツスターSにとって、その伝統に則れば“ミッドコントロール”が一般的。しかし目の前のモデルは“フォワードコントロール”でした。

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