“一晩限り”だからこそ快適に眠りたいのに…(イメージ)
旅行や出張で頼りになる宿泊予約サイト。事前に価格、部屋の広さ、食事や大浴場の有無などが分かるのは有り難いが、「星の数」がいくら良くても、時に痛い目に遭うこともある。「立地」や「設備の仕様」によって評価が一変することは少なくない。評判のいいホテルに宿泊したにもかかわらず、「これさえなければ……」という経験をした人たちが、苦い思い出を明かしてくれた。ホテル選びの際の参考にしてほしい。
近くに病院、風俗店…予約時に気づけなかった「立地」
現在、神奈川県の総合病院で医師として働くMさん(40代/男性)は、20年以上前に大学受験で地方都市を訪れた時の事件を未だに忘れられないという。
「私の第一志望は東北地方の国立大学。あまり知らない街なので、大学のすぐそばのホテルを予約しましたが、それが大失敗でした。ホテルの部屋からは試験会場のキャンパスが見え、絶対に遅刻することはないと安心してベッドに入りましたが、キャンパス内の大学病院に救急車が頻繁に出入りして、サイレンの音でほとんど眠れなかったんです。
いま考えれば、部屋を変えてもらえば良かったのですが、一人でホテルに泊まるのが初めてで、フロントに電話するという発想が思い浮かばなかったんです。眠りを邪魔されるイライラと、“しっかり睡眠を取らなくては”という焦りで目が冴えてしまい、結果的にほぼ徹夜で試験を受ける羽目に。結果は不合格でした」
ホテル自体に問題はなくても、立地に問題があるパターンもある。フリーライターのYさん(50代/男性)が今年4月に家族旅行で名古屋を訪れた際に泊まったホテルは、子供連れには厳しい場所だった。
「そのホテルは星が4.5以上で、価格も手頃で、サウナもあって、自分的にはまったく問題なし。ところが、家に帰ると妻が不機嫌そうに『昨日のホテルはダメね』と言うんです。どうやらホテルの真横に風俗店があったようで、子どもに見せたくない単語が看板に堂々と書いてあったようです。男の自分は気にならなかったんですが、女性としてはあり得なかったようで、迂闊でした」
別の意味で立地にイライラさせられたのは、大手飲食メーカー勤務のMさん(30代/女性)だ。
「取引先の関係の人の葬儀で地方都市に行った時のことです。スケジュールがタイトだったので、さっさと寝たかったのですが、ホテルの真隣が焼肉屋で、食欲をそそる匂いがプンプン漂ってくるんです。
それでも食欲を抑えながら寝ましたが、窓はしっかり閉めたのにスーツに焼き肉の匂いがついてしまい、上司や同僚に『何だよお前のスーツは』『葬式の最中、焼き肉の匂いがプンプンしてたよ』と、怒られるやら嫌味を言われるやら……。匂いのパワーの強さってスゴいんですね」