「自分より勉強ができない子がどうして内定を」
就活がうまくいかない学生のなかには、SNSを通じて“不安のループ”に陥るケースもある。
都内にある私立大学に通う女性・Bさん(4年生)は、志望校よりも低いレベルの大学に入学した、いわゆる“不本意入学”の学生だ。SNSを見るたびに落ち込んでいるという。
「私は関東の田舎のエリア出身なんですけど、地元のヤンキー文化が嫌で勉強をして東京に出てきました。でも親の経済的な理由から志望していた大学を断念し、指定校推薦で今の大学に入ったんです。偏差値は20くらい下げた形になるので、周りの学生がすごく頭が悪く感じてしまった。失礼な話ですが、心のどこかでずっと同級生たちをバカにしていました。
でも就活が始まったら、私が下に見ていた学生たちが次々と内定をもらい、なかには超大手企業の内定が出た子もいる。一方の自分は、6月の時点で内定ゼロです。毎日、合否結果が届かないことで不安になり、すぐSNSを見てしまう。インスタやXなどの内定報告を見ると、さらにヘコみます。
結局、就活を経験して『社会って偏差値じゃないんだな』とか、『勉強ができなくても、あんな有名企業行けるんだ』とか気づいたし、正直『顔がカワイイ女子が早く内定取ってるじゃん、結局はルッキズム社会か』と卑屈になることもあります。最終面接で私が落とされるのは学歴のせいじゃなくて、自分の卑屈っぽい性格のせいなのでしょうか……」(Bさん)
地元のヤンキーの投稿を見て自分の人生に悲観的に
Bさんは、周囲の就活生のSNSだけでなく、地元のヤンキーたちのSNS投稿にも落ち込むという。
「先日は、嫌いだった地元のヤンキーカップルが出産報告をしていました。『私は内定ゼロなのにヤンキーは就職、結婚、妊娠出産しているのか』と思うと、自分の人生に悲観的になります。大学に行くことで地元から離れられたけれど、SNSで地元の生活ぶりが見えてしまうので、どうしても意識してしまうんですよね。
せっかく奨学金を借りて大学に入ったし、親も『大学に行ったんだから、良い企業に入れるよね』とプレッシャーをかけてきます。自分は将来のビジョンが見えていないし、これで就活浪人になったらどうしようと不安が日々強まっています」(同前)
少子高齢化を背景に企業が採用意欲を高め、就職活動の早期化傾向が強まっている。そうしたなかで内定を得られない就活生が、周囲と自分を比較して落ち込むことは多い。くわえて、就活が長期化することで疲弊も感じており、SNSの存在がこうした状況に拍車をかけているようだ。
その一方で、早々に内定を手にしている就活生もいる。その中には、生成AIや診断ツールを活用して“コスパ重視”で就活を乗り切っている学生もいるようだ。後編記事ではその実態をレポートする。
■後編記事:《「ガクチカは生成AIに作ってもらった」「自己分析はMBTIと診断ツールを活用」…コスパ重視のZ世代学生たちの就活事情 一方で「AI依存」に警鐘を鳴らす声も》につづく