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キャリア
総合型選抜に潜む教育格差

推薦入試は「首都圏の高所得層」が有利な入試なのか? 実は地方の高校生にメリットがある総合型選抜 情報格差の縮小も追い風に

総合型選抜なら英検2級でも早慶上智ICUに受かることも

 
 上智の一般選抜では英検準一級以上の英語力が求められるが、公募制推薦ならば、英検2級でも合格が可能だ。

 公募制推薦の試験では文献を読んで書く力を求める分、社会や英語での暗記力をそこまで求めないから、地方の高校生も互角に戦える試験になっている。

 また、総合型選抜では、志望理由書が重視される。日本の場合、この志望理由書で評価されるのは「私だけの問い」である。

 それは少し幼稚だったり、洗練されてなかったりしても自分で見つけてきた「問い」を提示することだ。

 学問は「問い、学ぶ」と書く。この問い立てがまずできないといけない。この部分を総合型選抜では評価される。

 その場合、地方出身者はみてきた風景が首都圏の高校生と違うから、「問い立て」が差別化しやすいのではないか。

 東大の推薦入試で毎年合格者を出している山形県立山形東の佐々木隆行教諭は、筆者の取材に対してこう話した(マネーポストWEB・前掲記事参照)。

「一般選抜対策では幼い頃から受験対策をしている首都圏の受験生たちと勝負することの難しさはあります。しかし、推薦入試では主要5教科以外の総合的な学力や経験値も要素も評価の対象になります。山形東の生徒は、都会の高校生とは違う経験値があります。たとえば、限界集落で起きていることを実体験として知っていたり、積雪量の多さの不便さを身に染みて体験しています。そういった経験が新たな発想を産み、それを活かせる入試だと思っています」

 この佐々木教諭の言葉に納得したことがあった。

 雪と温泉のお湯の温度差を利用して発電しようという探究学習を山形東では継続的にしている。その探究学習の発表をする様子の写真だ。

地元の関係者の前で発表を行う山形東高の生徒

地元の関係者の前で発表を行う山形東高の生徒

 広い座敷で制服姿の高校生たちが行うプレゼンを聞き入っているのは70代以上の男性たちだ。初々しい高校生と渋い年配者たちの対比が実に趣深い風景になっている。

次のページ:首都圏と地方の情報格差は縮まる傾向に
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