父さんは別に、天才的な投資の才能があるわけではない。それでも資産50億円にまで増やせたのは、株式投資についてきちんと勉強しつつ、自分で編み出した手法を忠実に実践してきたからだ。
父さんでなくても、やり方をそのまままねすれば、同じような結果が出しやすいと思っている。
君たちも知っているように、父さんは平日、仕事に出ていることが多かった。だから、父さんの投資法は、働きながらでも無理なく実践できるといえる。パソコン画面に張りついて株価をチェックする必要がないどころか、むしろあまり頻繁に見すぎないほうがいいくらいなんだ。
これから教えることは、中学生と高校生の君たちには、まだちょっと難しいかもしれない。けれど、高校を卒業して大学に入り、就職して社会人になるまでには、きっとこの本に書いてあることが理解できるようになるはずだ。
人生は、お金がすべてではない。君たちにも、お金だけを追い求めるような人生を送ってほしいわけじゃない。
ただし、お金は人生の選択肢を増やしてくれる。
人生を豊かにするための手段として、ぜひ株式投資にチャレンジしてほしいと父さんは思っている。そもそも、株はとても楽しいものだし、社会について学ぶ絶好の機会にもなるんだ。
この本に父さんが知るすべてを書いたから、もしわからないことがあれば何度でも読み返してほしい。
そのたびに父さんは、自分の持てるすべてをもって、君たちに応えよう。
大学時代にデビューした、たーちゃん氏の投資遍歴
以下、たーちゃん氏の略歴と投資遍歴を紹介する。1975年兵庫県生まれ。広島大学医学部卒の現役麻酔科医。
大学生のときに『金持ち父さん 貧乏父さん』を読んで投資に興味を持ち、元手50万円で株式投資をスタート。アミューズメント機器や施設運営、ゲーム機器を手がけるセガサミーホールディングス(旧セガ:6460)を購入。2000年、セガ株の投資がうまくいき、資産500万円に増加。
2003年、暴落していたオーストラリアの金鉱株に集中投資して、2005年に資産1億円達成。集中投資はやめて、バリュー株の分散投資にシフト。
2008年のリーマンショックでは、ほぼ底値で買った銘柄の株価が上がったり、保有株がTOB(株式公開買い付け)で値上がりしたりと、結果としてほとんど資産を減らさずに耐える。
2009年、「かつや」などを展開するアークランドサービスホールディングス(2023年上場廃止)の買い増しを続けて主力化。
2012年、過払い金請求問題で倒産すると思われていたアイフル(8515)が、黒字化したタイミングで集中投資。
2013年、アベノミクスの追い風もあり、アイフルが半年で約7倍に。保有していたアークランド株も、この年にテンバガー(株価10倍)を達成。資産10億円となり、配当金は年3000万円以上と、医師としての収入をゆうに超えるようになった。
そこで38歳のとき、FIRE(経済的自立と早期リタイア)して専業投資家になるも、平日に高齢者と麻雀する日々が暇すぎたため、半年で復職。
2016年、同業のGMOフィナンシャルホールディングス(旧GMOクリックホールディングス:7177)より割安だったヒロセ通商(7185)を、浮動株(株式市場で流通している株)がなくなるくらいに購入し、半年で株価が約3倍に。
割安株主体で守備的な投資をしながら、不況の業種で10倍株候補を見つけて大胆に投資する「分散×集中投資」で資産50億円を超える。
2022年がんが発見され、翌年がんが再発。4度の手術を経て2024年、49歳で肺と肝臓へのがん転移が判明。主治医からは「50歳は迎えられても、51歳はわからない」と宣告される。著書『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』で2人の愛娘に向けて自らの投資法を初公開・初指南している。
なお、その後資産を80億円にまで増やしたたーちゃん氏がいま注目する銘柄については、関連記事の最新インタビュー《【資産80億円の投資家が厳選した4銘柄】造船、倉庫、コメ関連ほか、「がんステージ4の億り人」たーちゃんさんが描く独自の株価上昇ストーリーを特別公開》にて詳しく紹介している。
※たーちゃん・著『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社)を元に一部抜粋して再構成