東京近郊のアリーナ会場は続々増えるが…
2010年に閉館した新宿厚生年金会館、2015年閉館の五反田ゆうぽうとホール、改修のため2016年から休館中の日比谷公会堂、そして中野サンプラザホールと、都内の2000人規模のホールが続々と利用できなくなっている。
一方で、増加傾向にあるのは東京近郊のキャパ1万人以上のアリーナ会場だ。2020年以降には、ぴあアリーナMM(2020年開業・1万2000人規模)、東京ガーデンシアター(2020年開業・8000人規模)、有明アリーナ(2022年開業・1万5000人規模)、Kアリーナ横浜(2023年開業・2万人規模)、LaLa arena TOKYO-BAY(2024年開業・1万1000人規模)が新たに開業。さらに、今年10月にはTOYOTA ARENA TOKYO(1万1000人規模)が開業予定となっているほか、川崎駅隣接地の新アリーナ(2028年開業目標・1万5000人規模)や千葉県の幕張海浜公園の新アリーナ(2030年開業目標・2万人規模)といった計画も進んでいる。
このうち有明アリーナは、2021年に開催された東京五輪の会場として建設されたもの。LaLa arena TOKYO-BAY、TOYOTA ARENA TOKYO、そして新設される川崎駅隣接地のアリーナと幕張海浜公園のアリーナは、いずれもBリーグのホームアリーナとなっている。
「スポーツイベントと音楽イベントの両方に対応できる複合施設が増えるなかで、音楽イベントについても大規模化する傾向があるのも事実です。CDが売れなくなり、サブスクやYouTubeなどで音楽を楽しむ機会が増える中で、音楽業界としてもコンサートなどのイベントでの売上を重視するようになり、よりキャパシティーが大きな会場でイベントを開催するアーティストも増えています」(大塚氏、以下「」内同)
一般社団法人コンサートプロモーターズ協会(ACPC)が全国の正会員社を対象に行った調査によると[ライブの年間公演数/入場者数]は、2022年が3万2338本/4831万人、2023年が3万4545本/5632万人、2024年が3万4251本/5938万人となっている。各年の1公演あたりの入場者数を計算すると、2022年が約1494人、2023年が約1630人、2024年が約1734人となっており、1公演あたりの規模が大きくなる傾向にあることがわかる。
「2024年の公演本数は2023年より減少している一方で、入場者数が増えているというデータを見ると、小中規模の公演は減りつつあり、その分がアリーナクラスの公演に代わっていると推察することもできます。実際に、恒例化していた全国規模のホールツアーをやめて、数本のアリーナ公演を行うというアーティストもいます。
ただ、そこまで集客力がないアーティストは、簡単にアリーナ規模に移行することもできないですし、アリーナ規模のコンサートには相当な予算もかかるので運営サイドの体力も必要となる。そのうえで都内の2000人規模のホールも不足していて、会場確保もままならない。アリーナを確実に満員にできる超人気アーティスト以外にとっては、難しい部分も多い状況だと思います」