浪人率は1990年の55%から2025年は13%に激減
2025年度の大学入試の結果では、どのような傾向が見られたか。伊藤氏はこう語る。
「今年度に限った話ではなく、ここ何年かの傾向ですが、毎年、浪人率が下がっていて、1990年に55%だったのが、2025年は13%まで下がっています。現役志向が高まっているということは、安全志向が高まっていると言い換えられます。つまり、『浪人してでも東大、早稲田を目指す』ではなくて、模試の結果を見て、『東大・京大が無理そうなら他の旧帝大に出願を変える』『早稲田に落ちたけど明治に受かったから明治に行く』といった、現役で入れる大学に行くという考え方が主流になっています」(以下同)
安全志向が高まっているとしたら、難関大を志望する人が減り、それらの合格難易度が下がるような気がするが、実際はむしろ上がっているという。
「日本の大学入試においては、総合選抜や指定校推薦、学校推薦など推薦型入試が増え、一般入試の定員割合は半分以下になっています。定員枠が減っているので、一般入試の難易度は上がっています。
また、私大では早稲田のように、一般入試でマークシートの入試をやめて記述型、論述型の問題を増やす大学が増え、私大文系の最難関である早稲田の政治経済学部では、数学が必須科目になっています。私は“ミニ国立化”と呼んでいますが、東大・京大などと同じように、論理的思考力、論述力が問われるようになっているため、昔のように、浪人して、重箱の隅をつついて丸暗記する勉強をしても受からなくなっています。その意味でも難易度が上がっていると言えます」
推薦型の入試は実質的に現役だけが対象になり、一般入試の難易度が上がっているため、浪人を忌避し、現役で受かる大学に入るという安全志向が生まれているという。
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取材・文/清水典之(フリーライター)