2025年の現役進学数を高校別に比較した(写真:イメージマート)
受験生にとって、夏期講習が終わるといよいよ志望校選びが本格化する季節を迎える。受験する中高一貫校や高校を選ぶ際、その学校の「大学合格実績」に注目する人は多いだろう。しかし、それよりも参考になるのは、「合格者数」のような“延べ人数”ではなく「進学者数」ではないか。2025年の現役進学者数を学校ごとに見比べると、中高一貫校や高校の進路指導の“実力”を窺い知ることもできるという。フリーライターの清水典之氏がレポートする。
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『受験天才列伝──日本の受験はどこから来てどこへ行くのか』(星海社新書)の著者で、Xアカウント「じゅそうけん」で11万人のフォロワーをもつ伊藤滉一郎氏は、進学者数という数字の信頼性についてこう説明する。
「たとえば、1人の生徒が早稲田の3学部に受かったとすると、高校側は早稲田の合格者数を“3”とカウントするのが一般的です。首都圏の私立中堅高のなかには、高1の段階で私大専願に絞って3年間3科目を集中的に勉強するよう指導して、早慶上理、MARCHなど私大の合格者数を“稼ぐ”学校があります。つまり、合格者数は学校の進路指導の方針によって大きく左右されるということです。しかし、進学者数で見れば、生徒1人が進学する大学は1校。その学校でどのくらいの人数が難関大に進学できたかが一目瞭然です」
同時に、難関大の進学者数は、その学校の進路指導の実力をはかる目安にもなる。
進学者数は進路実績を計る重要な指標だが、ほとんどの学校が公式サイトやパンフレットなどで毎年の進学者数を公表していない。首都圏で、合格者数・進学者数ともに公開しているのは開成と筑波大附属駒場。武蔵(私立)は進学者数のみ公表しているが、これら以外で進学者数を公表している学校はまれであろう。
実際に、東大・京大をはじめとする旧帝大と、早慶上理の難関私立大学への2025年の現役進学者数を検証してみると、目にする機会の多い東大合格者数ランキングとは違った顔ぶれになる。開成や筑駒、聖光学院など首都圏の中高一貫校だけでなく、地方の公立高校も多数ランクインしてくるのだ。