AIG全英女子オープンで優勝した山下美夢有(Getty Images)
日米の賞金格差は広がるばかりか──。女子ゴルフの今季海外メジャー最終戦「AIG全英女子オープン」(英国=ウエールズ・ロイヤル・ポースコールGC)で、山下美夢有(24)が米ツアー初優勝を日本人勢では6人目(7回目)となるメジャー制覇を果たした。
山下が手にした優勝賞金は、なんと146万2500ドル(約2億1500万円)。昨年のJLPGAの賞金ランク1位の竹田麗央の2億6573万円(年間8勝)に迫る額で、2位だった山下自身が稼いだ1億7311万円(年間2勝)を大きく上回っている。
米女子ツアーの優勝賞金は急激な右肩上がりで、特にメジャー大会の優勝賞金は大きく膨れ上がっている。今年4月にメジャー初戦の「シェブロン選手権」を制した西郷真央の優勝賞金は120万ドル(約1億7640万円)で、昨年に2度目となる「全米女子オープン」を勝った笹生優花が獲得した優勝賞金は240万ドル(約3億5280万円)だった。
一方、JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の最高優勝賞金は、「アース・モンダミンカップ」の5400万円。国内4大メジャー(公式競技)を見ても、「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」が3600万円、「日本女子オープンゴルフ選手権」が3000万円という規模。最高優勝賞金の「アース・モンダミンカップ」は“賞金総額”が3億円で、笹生が優勝した「全米女子オープン」の優勝賞金より少ない。
2019年の渋野日向子の優勝賞金は山下の半分以下
なぜここまで「日米マネー格差」が生じるのか。スポーツ紙の担当デスクは次のように解説する。
「優勝賞金はタイトルスポンサーの考え方次第のところもあります。全英女子オープンは2019年に米保険大手のAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)がスポンサー契約を結んで以来、賞金総額が年々アップしている。
それまで賞金総額325万ドルだったが、AIGが契約した2019年に450万ドルにアップし、その後は580万ドル、730万ドル、900万ドル、950万ドルとなり、今年は過去最高となる975万ドルとなった」
今年の「全英女子オープン」の賞金総額はリコーがタイトルスポンサーだった2018年の3倍規模になっている。AIGがタイトルスポンサーとなった2019年に優勝した渋野野日向子でも、その優勝賞金は67万5000ドルで、今回の山下の半分以下。この6年でいかに高騰したかわかるだろう。
「全米女子オープンの優勝賞金が高騰しているのも同様です。タイトルスポンサーが米金融サービス会社のAlly Financial(アライ・ファイナンシャル)になったことで、賞金総額が100万ドルアップし、優勝賞金も20%増の240万ドルとなった。
同社は女子サッカーなど女性スポーツへの出資に熱心で、女性アスリートの地位向上を目指している企業。優勝者を称えるということで、従来は賞金総額の15%だった優勝賞金を20%に引き上げた。タイトルスポンサーのサポートで優勝賞金が右肩上がりになっている」(前出=スポーツ紙の担当デスク)