総合型選抜不合格なのは「評定平均」が低いから?
Aさんは2つの大学の総合型選抜に出願をした。両方とも一次の書類審査に通った。片方の大学の面接が終わった後、こう言われたそうだ。
「立て板に水という感じで、素晴らしい話しぶりだった」
「やったあ!と思いました」そんな風に褒められたのだから合格を確信した。
しかし、結果は不合格だった。Aさんは、不合格の直後には自分の敗因をこう分析していたという。
「英検準一級を持っていましたが、評定平均値が4.1で高いとはいえません。それが原因なんだと考えていました。結局、総合型選抜も評定平均値は重視される傾向はありますよね。同じ高校からでも評定が高い子たちが早慶の総合型選抜に受かっていく感じでした」
総合型選抜が残念な結果に終わったため、Aさんは冬は必死で勉強し、一般選抜でMARCHに合格した。合格後に推薦塾で仲良くしていた生徒達と遊ぶようになって、自分の分析が間違っていると気づく。
「親しくしている子が公募制で上智に合格したんですが、評定4.0、英検2級だっていうんですよ。そのぐらいの評定や英検2級で慶應の総合型選抜に受かっている子も割といると聞きました。だから私が不合格だったのは評定平均値のせいではないんですよ」
そして、こうも続けた。
「総合型選抜での自分の敗因って、なかなか分からないです。一般選抜なら自己採点をして、“日本史の近代史の部分が全然解けなかったからだ”などと不合格の理由は分析できますが、総合型はそうもいかないので」
総合型選抜の受験経験者たちをインタビューしていると、不合格をちゃんと自己分析できている例はゼロといっていい。人はそうそう自分を客観的に見ることはできないのだ。
ある学生はMARCHの2つの大学に合格したが、上智だけ不合格になった。本人は小論文で得点ができなかったと話す。しかし、志望理由書を見ると「これでは上智は無理だな」という内容だった。ボランティアの経験から福祉問題に興味を持ったという内容だったが、福祉をアカデミックな視点から勉強をした形跡がなかった。ようは活動実績だけをアピールしていて、文献をちゃんと読んだ形跡がない。これでは上智の公募制にはなかなか合格できない。