続々と共学化する女子大
それはともかく、これも時代の流れなんだね。
先日、兵庫県西宮市にある日本最大規模の女子大、武庫川女子大学が2027年度から共学校になって男子学生を受け入れるというニュースが飛び込んできた。発表と同時に共学化の延期や見直しを求めるオンライン署名が5万筆以上も大学に提出されたというし、大学側も発表時に「驚かせて申し訳ない」と謝罪しているから苦渋の選択だったんだね。
女子大を共学にする理由は聞かなくてもわかる。少子化で学生が集まらないからよ。それで、ほかに共学になった女子大を調べてみたら、あるわあるわ。
まず目を引いたのは白百合学園よ。7月初めに、仙台白百合女子大学が2027年度から男女共学に移行すると発表していた。「白百合といったら、女子校、女子大を象徴するお嬢さま学校でしょ。そこに男子が入ってくる? きゃーっ」という悲鳴が聞こえてきそうだわよ。
都内では、千代田区と町田市にキャンパスがある東京家政学院大学が、来年の入学試験から「男子枠」を設けた。文京区にある文京女子大学はいち早く、文京学院大学と名を変えている。京都の京都橘女子大学は京都橘大学に、鹿児島女子大学は志學館大学と女子大の香りをその名から消した。
反対に、共学になっても名前を変えなかったのが、名古屋で女子大御三家と呼ばれる名門、愛知淑徳大学だ。学校名に女子がついていないのが幸いしたのね。
ほかにも共学になった女子大はあるけれど、京都ノートルダム女子大学は、来年から学生募集を停止する。つまり閉学よ。
かつては「大企業の女子の定年退職は25才」の世相
大学だけじゃない。さらに凄まじいのは女子高校の減り方で、3000校以上存在していた1960年代後半~1970年代までをピークに減少して、2023年には269校(文部科学省 2023年「学校基本調査」)って、10分の1以下に減少しているじゃない。
こうして数字を見るとビックリするけど、そもそも女子校、女子大、特に短大は、男女雇用機会均等法ができる前の遺物という感が私にはある。かつては、「大企業の女子の定年退職は25才」なんていう、とんでもない世相の中で、明治時代以降の「良妻賢母教育」という言葉には存在感があった。私の世代でも、「女子大卒」は“いいところのお嬢さま自慢”の匂いがしたもの。それが時代に合わなくなって、逆にまだあったの?と思ったりもする。
仕事に男も女もあるかい。問われるのは「女らしさより能力」という時代になって、それはそれでよかったと思うのよ。その半面、女子校という女の園がなくなるのはとても残念だと思う気持ちも、私にはあるんだよね。男がいるから性差を意識するんであって、モテるのモテないの、ふったのフラれたのがどこかおとぎ話だった高校の女子クラスが懐かしくてたまらないんだわ。
消えたら二度と戻らない。わかっちゃいるんだけどなぁ。
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2025年8月21・28日号