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中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ
令和の米騒動

米価格が下がらないのは、農家が“自分にとってどのような選択が最高か”を考えた帰結 田植えと稲刈り経験を経て実感する「米価格はこれまでが安過ぎた」

稲刈りを手伝う筆者

稲刈りを手伝う筆者

「農家が暴利をむさぼっている」は本当か

 そして、農家については、とにかく設備投資がすさまじくかかる! 今回私が取材した農家のコンバインは30年前のものを中古で買ったそうですが、新品の場合は当時700万円で売られていたそうです。屋根・エアコン付きの新品コンバインは1200万円かかります。

 かくして米を作るには多額のカネがかかるわけで、それなのに「農家が暴利をむさぼっている!」的なネットの論調には「ちょっ、待ってくれ……」と農家としては言いたいでしょうね。

 とはいっても、米がいかに日本人にとって重要かということが、令和の米騒動により明らかになったので、我々消費者の側も「これまでが安過ぎた」という意識を持たざるを得ないのではないでしょうか。私は田植えと稲刈り経験を経てそう思いました。

 米騒動の時、米をいかに買い占めるか、といった動きもあったのに加え、転売も横行しました。なんだかんだいって人々は米が高くても買う。それだけ大事なものなので、今年の新米価格、そして将来の米の価格が5kgで4000円ぐらいになってもあまり文句を言わないようになるのなら、令和の米騒動も意味があったかもしれません。

 何しろ農家は「毎年台風や大雨のリスクがあるけど米を作っている。それなのに、なんで『農家が出し渋ってる』とか言われなくちゃいけないんだ?」なんて気持ちも持っているはず。正直、収穫した後は「私らの手を離れた」という感覚になるわけです。だから直売に力を入れようとする動きもあるのでしょうね。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は倉田真由美氏との共著『非国民と呼ばれても コロナ騒動の正体』(大洋図書)。

コンバインでは稲刈りと脱穀が同時にできる

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