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中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ
令和の米騒動

パニックを煽るメディアと流される国民…「令和の米騒動」への違和感 かつてタイ米を「日本の料理に合わない!」とバッシングした「1993年の米騒動」から進歩はないのか

令和の米騒動はいつ終わるのか(備蓄米の販売状況を視察する小泉進次郎・農水相。時事通信フォト)

令和の米騒動はいつ終わるのか(備蓄米の販売状況を視察する小泉進次郎・農水相。時事通信フォト)

「令和の米騒動」が日本中を騒がせているが、約30年前には「平成の米騒動」とも言われる「1993年の米騒動」が起こった。この年は冷夏で米が不作となり、秋には米の価格が高騰。タイ米を緊急輸入するなどして日本は米不足を乗り切ろうとした。その時の経験が今の「備蓄米」制度につながっているわけだが、昨今の米騒動報道を見て違和感を覚えるというのは、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。1993年当時は大学生だった中川氏がレポートする。

 * * *
「1993年の米騒動」を覚えてますでしょうか。この頃、我が家で私は大学の帰りに食料品を買う担当でした。母親から指令された食材を自転車に乗って買いに行くわけですが、スーパーに米がとにかくない! 米屋に行くと売っているのですが、10kgで1万3000円と言われる。それまで10kgは5000~6000円ほどだったのでこれにはギョーテン。

 さらに、この時米不足を解消すべく日本政府はタイからタイ米を輸入したのですが、当時のメディアの報道は本当にヒドかった……。「ネズミの死骸が混入していた!」という報道をして、衛生状況の悪さをことさら強調していました。いや、多分日本の米でもネズミやゴキブリは入ったことはあるでしょうが。タイ米だからって過度に叩き過ぎてませんか?

 そこから先は、「日本の料理に合わない!」というバッシングが発生しました。これについては、私は同意します(バッシングする気は毛頭ありません)。何しろタイ米と日本米は別物です。「米」と名付けられていたとしても、まったく別の食材だと思っていい。

 長粒米のタイ米はパラパラで、普通におにぎりや寿司には使える代物ではありません。アジフライ定食やエビフライ定食や、サバ味噌煮定食にも合わない。玉子かけご飯、納豆ご飯、刺身定食に合うワケがない炭水化物なのです。

 それはパラパラな米だからで、だったら何に合うかといえば、基本的には中華料理やタイ料理の液体を含んだおかずやチャーハンです。回鍋肉、青椒肉絲は当然のことながら、タイ料理の空心菜炒め、豚肉と野菜のオイスターソース炒め、麻婆豆腐など、ある程度の汁っ気があるものに合うわけで、純粋に日本米に合う食事に合うタイプの米ではない。

あなたはパンで刺身を食べようと思いますか!?

 このように、日本米とタイ米はまったく別物なのに、当時の日本は「タイ米が米不足の日本の食を補完してくれる!」と思い込んだ。だからこそバッシングにつながったのですね。米屋でも、日本米5kgとタイ米5kgを抱き合わせ販売で1万円、なんて売り方をしていました。挙げ句、タイ米は捨てられたりもした。

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