デジタル化の進展でサイバーセキュリティへの需要が高まっている
DXの進展などと表裏一体で重要性が増す「サイバーセキュリティ」は、企業活動を支えるインフラとなりつつある業界と言える。今回は、億り人投資家で経済アナリストの古賀真人氏が、サイバーセキュリティ市場の現状と将来性を分析するとともに、最新決算で好決算を出している注目銘柄をピックアップし、解説する。
* * *
現代社会においてサイバーセキュリティは企業活動の根幹を支える重要なインフラとなっている。デジタル化の進展とサイバー攻撃の高度化によりセキュリティ投資の需要は継続的に拡大しており、投資家にとっても魅力的な成長セクターとして注目されている。今回は日本のサイバーセキュリティ市場の現状と将来性を分析し、注目銘柄をピックアップしていきたい。
サイバーセキュリティの市場規模と成長予測
世界のサイバーセキュリティ市場は急速な拡大を続けており、2024年には前年比9.7%増の867億ドルに達している。主要事業者間の競争が激化する中、Palo Alto Networks、Microsoft、Fortinetが上位3社を形成している。
総務省「令和7年版情報通信白書」によると、日本でも、2023年には前年比12.0%増の5574億円を記録し、国内市場も同様に堅調な成長を示している。セキュリティソフトウェア分野が全体の89.1%(4965億円)を占める主力セグメントとなっている。
これとは別に、市場調査会社IMARCによる調査では、日本のサイバーセキュリティ市場の規模は2024年に180億米ドル(約2.7兆円)と評価されており、2033年には433億米ドル(約6.5兆円)と2倍以上の拡大が見込まれ、年平均10%以上という高い成長率が期待されている。大企業中心であったセキュリティ投資が、サプライチェーン攻撃の拡大などにより中小企業にも広がり、市場の裾野が劇的に拡大していると見られる。
日本では今のところ外資系企業が売上の50%を占めている状況であるものの、政府の国産技術支援策や専門人材育成プログラムも、国内企業の競争力向上を後押ししており、中小企業向けの導入しやすいソリューションや日本の商慣習に適したサービス提供も進んできている。
昨今では、DXの加速とクラウド環境の普及により従来のセキュリティが通用しなくなり、市場需要を活性化させている。このような背景が追い風となり、直近決算で劇的な成長を遂げている企業をピックアップした。