三役までスピード出世で駆け上がった安青錦
9月14日に初日を迎える大相撲秋場所。先場所、惜しくも優勝こそ逃したものの、1横綱1大関2関脇を破り、新入幕からの3場所連続2ケタ勝利によって新小結に昇進したウクライナ出身の安青錦(安治川部屋)に注目が集まっている。
初土俵から所要12場所での新三役は、年6場所制となった1958年以降で最速。黒船襲来と騒がれた小錦、初のモンゴル出身横綱・朝青龍、白鵬の対抗馬として期待された欧州勢初の大関・琴欧洲らの14場所という記録を塗り替えてのスピード出世となった。
7歳の時にウクライナで相撲を始め、15歳で出場した世界ジュニア相撲選手権で3位(2019年)、17歳ではヨーロッパ選手権100キロ未満級優勝(2021年)の実績があったが、2022年2月にロシアがウクライナへ侵攻。稽古ができない状況となり、同年4月に来日した。相撲担当記者が言う。
「ウクライナでは国立大学に合格していたが、両親とともにドイツに避難。力士への夢を捨てることができず、世界ジュニア相撲大会で日本を訪れた時の縁を頼って来日。関西大学や報徳学園の相撲部で練習を続けた。
報徳学園相撲部の元監督の口利きで新設されたばかりの安治川部屋に入門することになり、半年の研修後、2023年7月場所の新弟子検査に合格。翌9月場所で初土俵を踏んでいます。すでに三段目上位から幕下下位の実力があると言われていた」
序ノ口、序二段と7戦全勝で優勝。三段目は7番相撲で敗れて初土俵からの連勝は20でストップしたが、6勝1敗で各段を1場所で駆け抜けた。幕下では優勝はなかったが、3場所連続6勝1敗で十両に所要7場所で昇進している。十両を2場所で通過し、歴代1位タイ(幕下付け出し除く)の所要9場所で入幕を果たす。その後は3場所連続2ケタ勝利で新三役に昇進している。
いかに一足飛びで番付を駆け上がってきたかは、安青錦の「収入」の変遷を見ても一目瞭然だ。