テンバガー投資家X氏が保有銘柄を売却するのはどんな時?(写真:イメージマート)
売るか、持ち続けるか。含み益が膨らんでも、含み損が膨らんでも、悩ましいのが「売却」の判断だろう。株式投資で億超えの資産を築いた“億り人”はどう考えているのか。5年8か月で運用資産561万円を10億円に増やした兼業投資家、テンバガー投資家X氏は「成功している長期投資であれば、基本的には売りは考えない」方針だが、一方、損益にかかわらず、売却してその銘柄と縁を切ってしまうこともあるという。それはどんな時なのか。
10倍株も達成しているテンバガー投資家X氏が仕事やプライベートで忙しい投資家でも株式投資で成果を上げられる手法を明かした著書『トイレスマホで「無限10倍株」3年9カ月で5975万円を稼いだ投資術』(KADOKAWA)より一部抜粋・再構成して紹介する。
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投資は、買いタイミングよりも売りタイミングのほうがはるかに難しいといわれます。僕の場合、成功している長期投資であれば、基本的には売りは考えません。テンバガーを達成し、継続保有中のアズーム(3496)もいずれ急成長のフェーズを終えて、安定成長や成熟期にスイッチするときがやってくるでしょう。こうしたフェーズに入れば、多くの企業はそれなりに配当を出すようになるので、それを受け取りながら持ち続けると思っています。
もともと、3~5%程度の配当を狙う高配当株投資にはまったく興味がないのですが、安く投資できて、なおかつテンバガーを達成した銘柄であれば話は別です。きわめて安い時期に投資できていれば、株価成長の過程で配当が増える増配を繰り返すことで、実質的な配当利回りは数十%に達することもあり得るからです。テンバガー投資は売却益を狙うものだというイメージが強いと思いますが、その銘柄の魅力が失われない限りは持ち続けて莫大な配当収入をもらい続けるという夢もあります。
また、ここまでくれば、仮に複数回ストップ安に見舞われたとしても、そう簡単に含み益はなくならないので怖いものなしの状態になります。成功した投資ほど、持ち続けるメリットは大きいので、手放す必要はないのです。
そもそも、企業が成長して時価総額が大きくなれば、いずれその成長は鈍化するものです。トヨタ自動車やファーストリテイリングのような企業が、スタートアップと同じように2ケタ成長を続けるのが難しいのと同じ理屈で、規模が大きくなるほど成長率は鈍化します。ゆるやかにはなっても、成長を続けていれば、十分持ち続ける価値があると思っています。
よほど有望な銘柄を見つけて資産の大半を投じたくなったときや、欲しい不動産に出合ったなど、現金が必要になったときに売却しようと考えています。