おけいどん氏はなぜ小説のかたちで投資の本質を伝えたかったのか?(イラスト:西田ヒロコ)
株式投資で“億り人”になった個人投資家の多くが、SNSや著書などで自身の投資法や投資に必要な知識、心構えを発信している。日米など世界の高配当株・増配株に長期投資して資産2.1億円を築いた投資家・おけいどん(桶井道)氏もその1人だ。
同氏が2025年に上梓した新刊『時をかける貯金ゼロおじさん 35年前に戻った僕が投資でゆっくり「億り人」になる話』(KADOKAWA)は、人生に絶望した飲んだくれの「貯金ゼロおじさん」が投資で人生再チャレンジをして億り人になる小説仕立ての作品だ。同書の中には、投資の本質と重要性を伝えるための工夫が凝らされている。
これまで投資に関する実用書を5冊執筆してきたおけいどん氏が、6冊目の単行本をなぜ小説のかたちで執筆したのか。読者に伝えたかったことは何か。
正しい投資をすれば人生が変わることを伝えたい
同書は、貯金も家族も友人もなく、貧困生活のなかで人生に絶望する65歳の主人公・シンジがあるきっかけで35年前に戻り、億り人になった会社の先輩から指南を受けながら投資で人生をやり直す物語だ。おけいどん氏はこう話す。
「私は投資を広めることをライフワークにしており、これまで高配当株&増配株の投資本、米国ETF(上場投資信託)投資本、NISA(少額投資非課税制度)本、FIRE(経済的自立、早期リタイア)本などを書いてきました。次の新しい切り口の本として、これまで投資とは縁のなかった層に投資の素晴らしさ、正しい投資をすれば人生が変わることを伝えたいと考え、小説のかたちを選びました。
投資を学ぼうにもビジネス書はヘビーに感じる方もいるでしょうが、小説なら手にとるハードルが下がるのではないかと思ったわけです。投資を始めて人生も人間性も変わっていく主人公・シンジの半生を追いながら、投資がもたらす可能性を疑似体験してもらいたいと考えました。投資を小説で伝える本が見当たらないので、新しいことにチャレンジしたかったことも動機になりました」(おけいどん氏。以下、「」内、同じ)