賃貸契約書の特約にない破損の修繕費は誰が払うのか(イメージ)
賃貸物件に住んでいる場合、備え付け設備の故障は、基本的に家主(オーナー)が対応するもの。では、賃貸契約書の特約に記載されていない故障や破損の場合はどうか。実際の法律相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
酷暑のせいでマンションのワイヤー入りの窓ガラスが割れました。修理してもらうと、その費用が驚きの15万円! 賃貸契約書を確認したのですが、暑さのために窓ガラスが割れた際の費用補填に関する特約はありませんでした。こういう場合、契約書に特約がなければ、家主は修理費を補填してくれませんか。
【回答】
契約に特約がなければ、民法の定めで賃貸物の使用収益に必要な修繕をする義務は、原則として家主(オーナー)が負います。マンション居住に支障がある不具合が発生した場合、家主が修繕しなければなりません。ただ、窓ガラスが割れたら、安心して居住できないので補修が必要ですが、単にひび割れの状態だと、家主は居住のために修繕が必要な支障とは認めないことも。
その場合は専門家にひび割れの危険性について相談し、助言してもらいましょう。そして、補修の必要があることが確認されれば、家主の責任になります。ところが民法は、賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となったときは、家主の修繕義務を否定しています。そのため、窓割れの原因が問題になります。