インフルエンサー系美容師が抱える「将来への不安」とは(写真:イメージマート)
TikTokやInstagramで映える「派手髪」がZ世代を中心に人気を博している。ブリーチ剤を使ったハイトーンカラーをベースに、ビビッドカラーを重ねたり、インナーカラーで個性を出したりする髪色のことをいう。
SNSでは、K-POPアイドルやアニメキャラクターなどの髪色を真似た、「推し活ヘア」「推しカラー」などもトレンドで、ライブやイベントに合わせた髪色チェンジを楽しむ若者も少なくない。
そうした流れを追い風に、SNSのフォロワーが数万人から数10万人を抱える“インフルエンサー美容師”も増加している。彼ら/彼女らはSNSの動画発信を中心にファンを増やしているが、一方で「将来への不安」も広がっているという。そのリアルな本音を聞いた。
月収100万~200万円も「ブームが終わったら…」
表参道のサロンで働くAさん(24歳・男性)は、SNSフォロワー10万人を抱える人気美容師だ。Aさんが働く美容室は「シェアサロン」と呼ばれる業態で、完全にフリーランス(個人事業主)として働いている。
独立採算制のため、多くのリピーター客がいる美容師にとっては、安定した収入を得やすいというが、Aさんは「とにかく将来が不安だ」と漏らす。
「毎日4~5人の程度のお客様がいらっしゃいますが、ほぼ全員インスタ経由で僕を知ってくれた方です。ブリーチは時間がかかり、1人に4時間くらいかりますが、客単価が高く、だいたい1人5万~6万円がベースです。月収は100万~200万円程度。個人事業主なのでいろんなものが経費計上しやすいというメリットもありますが、つねにトレンドを追って憧れられる存在でいないといけない、プレッシャーも強いですね。
今はカラーで食べて行けていますが、もし派手髪が流行らなくなったらどうなるのか……。ブリーチやカラーの薬剤知識は積み重ねているし、カラースキルは高いほうだと思いますが、カットや白髪染め、ブローといった基本的なスキルが未熟のまま、という自覚はあります。派手髪を求めてくるお客さんはロングヘアが多く、むずかしいカットは要求されないんです。でも今後が心配。自分が歳を取るなかで、どんどん新しい美容師が出てくる。そうしたら、自分の売りとか強みがなくなるような気がして、正直いつも不安ですよ」(Aさん)