市長室には地元でつくられているものがディスプレイされている。タバコもそのうちの一つ
ものづくりがシュリンクするなかで、大事にしたいもの
工場が多い磐田市。前述したヤマハ発動機のほかスズキやカワイなど名だたる企業の工場も多く、地域経済を支えている。
「雇用の窓口として工場の存在は大きく、東海工場でも500人ほどが勤務しています。私の子供時代は工場の横にあるグラウンドを使わせていただいていましたし、今も市内のイベントでは工場で働いている方たちがゴミ拾いに協力してくれるなど、工場や従業員の方たちは市民に身近な存在です。美化に関しては、やはり今はマナーの問題でタバコが煙たがられる側面があるのは事実なので、分煙啓発はますます必要だと思っています」
ものづくりという大きな枠で見れば、メイドインジャパンの品質が高い評価を得ている一方で、国内の工場は縮小トレンドにある。磐田市として、こうした時代状況に何を思うのだろうか。
「人口減少の中で、国内の工場がシュリンクしていくのはある程度やむを得ないことだとは思います。だからこそ、今も磐田市に工場を置いてくれている企業さんには感謝しかないですし、何よりも私自身、近所のおじさんたちが工場で働いて、お店に並ぶものをつくっていたことは誇りで、自分の記憶の中で大きなストーリーとして残っている。そういう感覚を子供たち達にも伝えていきたい。どの企業も、地域にとって身近で自慢できるような存在であってほしいし、誇り高い商品を作り続けてもらいたいと思いますね」
リモートワークの推進や工場の減少・自動化などで、働きに出る親の背中を子供達が近くで見ることができる環境が貴重になりつつある現代。それでもこうした工場は地域に誇らしさや、温かさを与えてくれている。磐田市ではそれが返礼品につながったのだろう。
草地博昭市長