パチスロホールはどんな機種を導入したいのか(イメージ)
今年6月からホールに導入されている新機能「ボーナストリガー」(以下、BT)を搭載したパチスロ機。射幸性が高い機種が人気となっている現在のパチスロにおいて比較的射幸性が低く、遊びやすいと言われているBT機だが、ホールでは大きな存在感を見せられない状況が続いている。その背景を探った。【前後編の後編。前編から読む】
「ホールがBT機をあまり重視していない」
実際にBT機を打っているユーザーの声も聞いた。都内に住む会社員のAさん(40代男性)は射幸性の高いAT(アシストタイム)機に疲れ、最近はBT機を打つ機会が増えたという。
「自分の小遣いの中でパチスロを楽しむには、AT機はリスクが大きすぎる。かといって、ジャグラーはシンプルすぎて物足りない。そんな中でBT機が登場してくれたことは、個人的に相当前向きなニュースでした。だからBT機を積極的に打っているんですが、正直なところ、あまり状況は芳しくありません。
というのも、ホールがBT機をあまり重視していないんです。イベントの日も、AT機には高設定が結構入っているのにBT機は通常運転ということが多い。BT機は既存のノーマルタイプに比べると出玉の波が粗めなので、低設定だと意外に大きく負けることもある。これならジャグラーを打っている方が収支も安定するのかなという気もしています」
パチスロにはホール側がその台の出玉率を調整するための「設定」という機能がある。設定が高ければ、それだけユーザー側がプラス収支になる可能性が高くなるため、集客を目的とした“イベント”においては、高設定台が多数投入されることも多い。しかし、AさんはBT機に高設定が入ることは少ないと感じているのだ。実際のところはどうなのか、パチスロ事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏がBT機の設定状況について説明する。
「ノーマルタイプの場合、ジャグラーシリーズは定番機種として人気があります。初心者でも簡単に打てる機種ですし、ジャグラーの熱心なファンも多い。集客力のある機種なんです。一方のジャグラー以外のノーマルタイプは、目押しを成功させることで獲得できる出玉を増やせるといった技術介入要素がある機種が多く、初心者に対するハードルは高い。幅広いユーザー層に受ける機種ではないわけです。
BT機も技術介入要素が多い機種があり、ユーザーにとってはハードルが高い。つまりBT機は、AT機やジャグラーシリーズに比べて集客力が小さく、ホールとしてはBT機に設定を入れるメリットは少ない。そして設定が入らないとなれば、BT機を選択するユーザーも少なくなる。こういった流れで、BT機が大きな支持を得られないと言えます」