【贈与税・相続税】「夫婦の口座移動」「子供の結婚式費用」ほか贈与にならないお金の受け渡し
「贈与税や相続税でルールを誤解しているケースが多い」
そう話すのは相続専門のYouTuber税理士、橘慶太氏だ。なかでも年間110万円までの贈与が非課税になる「暦年贈与」は相続税対策の王道とされるが、110万円を超える贈与がすべて課税対象になるわけではない。
「夫婦間でのお金の移動にも贈与税がかかると思って控えている人がいますが、配偶者に生活費などのお金を110万円以上送っても贈与税は発生しません。贈与はお金をあげる人ともらう人がお互いに意思を確認し合って初めて贈与契約が成り立ちます。配偶者にお金を渡しても双方に贈与の意思表示がなければ単に預けているだけとなり、『名義預金』や『預け金』とされて生前贈与とみなされないのです。そのお金を夫婦の食費や旅行代などに使っても問題はありません。
ただし、配偶者の口座に入れたお金で配偶者名義の不動産を購入した場合など、相手のために使った場合は贈与税を取られる可能性が高いので注意が必要です」(橘氏)
注意しなければならないのは、配偶者が亡くなった場合だ。
「例えば夫が亡くなった際、妻の口座に移動しておいたお金は“預け金”の名目で夫の財産として申告しないと税務署に調査されて指摘される可能性があります。そうすると、追徴課税を1.1倍加算されて相続税を払わなければならなくなる。悪質だと判断されると1.35倍の加算もあり得ます」(同前)
相続が発生しそうなら一旦、配偶者の口座にお金を戻し、亡くなった後にきちんと相続手続きを取ることが余計な税金を取られないことにつながる。ただし、例えば1000万円を配偶者に渡したとして800万円を使った場合、全額を戻す必要はなく残った200万円だけを戻せばいい。同様に親子間や祖父母と孫の間での送金も贈与とならないケースがある。