ふるさと納税の制度を正しく理解し使い倒す(写真:イメージマート)
「ふるさと納税」は、任意の自治体に寄附をすると、寄附上限額から2000円を引いた額が住民税や所得税から控除される制度。自治体から返礼品として地域の特産品を受け取れる。寄附金額の3割以下への返礼率の規制や今年10月からは各ふるさと納税サイトのポイントが廃止されるなど、お得度が減っているようだが、“やらないと損”であることは変わらない。
酒税を減らす
ふるさと納税が関わるのは住民税や所得税だけと思い込むのも早計だ。ふるさと納税ガイド編集長の飛田啓介氏はこう語る。
「以前はふるさと納税といえば『A5ランクの牛肉』や『ウニ・イクラ・カニ』などの高級品が主流でしたが、コロナ以降はお米や豚肉、鶏肉などの大容量パック、鮭の切り身や干物などの食料品やティッシュペーパーなどの日用品に加え、ボリュームのある“訳あり品”の人気が高い。自治体もそういった返礼品を充実させています。ふるさと納税を活用してスーパーでの買い物を減らすことで消費税の支払いを減らす効果もあるといえます」
沖縄のお酒を返礼品として選ぶことで「酒税」を抑えることも可能だという。
「沖縄では本土復帰に伴う特別措置法により、県内産のビールや泡盛などの酒税が26年10月まで軽減されています。ただし、本土で沖縄産のお酒を買う場合には適用されません。仕入れ値が安い現地の自治体を通してオリオンビールや泡盛などをふるさと納税の返礼品として受け取れば国内産の他のお酒より酒税を抑えられます」(同前)
飛田氏は「お得な返礼品」についてこう語る。
「お米の新米は現在、市場価格が下がってきていますが、ふるさと納税ではまだ割高な印象です。返礼品の寄附金額の見直しは適宜行なわれていますが、スーパーなどのように日々見直すわけではありません。そこまで新米にこだわりがないなら、令和6年産のお米は必要な寄附金額が2000円以上低いので検討してみてもいいでしょう。
また、返礼品をすぐに手に入れなくてもいいなら、来年の先行予約が狙い目。シャインマスカットやさくらんぼなどは、今から来年の予約をすると大増量になる傾向があります。映画館の前売り券と同様、自治体が割安で大量に仕入れることができるからです」(同前)
制度を正しく理解し、使い倒す。それができれば無駄な税金を一気に減らすことができるはずだ。
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※週刊ポスト2025年11月7・14日号
