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音楽ビジネス「グローバル化」の最前線

【海外進出の壁を乗り越えるJ-POP】YOASOBIの世界的快進撃を生んだ「あえてインディーズとして配信スタート」した戦略 リスナーの半分が海外という調査結果も

YOASOBIが世界的に人気になった背景は(Getty Images)

YOASOBIが世界的に人気になった背景は(Getty Images)

 日本のアーティストが海外でも存在感を示す例が増えている。日本発で世界的ヒットとなった楽曲の先駆けといえば、2011年に発表され、PVが2億回再生を突破したきゃりーぱみゅぱみゅ『PONPONPON』。その後も、YOASOBIのデビュー曲『夜に駆ける』などは、2019年11月にYouTubeで公開されると、ビルボードが発表するグローバルランキングにもチャートインするなど世界を席巻し、2023年9月には10億回再生を突破した。

 大ヒットの裏側には、ファンの熱量を逃さないための音楽ディストリビューターと大手レーベルによる迅速な協力体制があるという。

 ユニバーサルミュージックでデジタル本部長を務めた鈴木貴歩氏が著した、日本の音楽ビジネスを“構造の変化”から読み解く『音楽ビジネス』より一部を抜粋・再構成。(全3回の第3回)

2010年代から広がりを見せてきたJ-POPの海外進出

「韓国の音楽が日本も含め世界中でヒットしているのに、なぜ日本の音楽にはそれができていないのか?」という論調がありました。たしかに、K-POPがアメリカのビルボードを中心としたメインストリームでチャートインできているのに対し、J-POPではまだ達成できていない状況です。しかし、J-POPや日本の音楽の現状を見ると、テクノロジーの進化を徐々に取り入れつつ、海外でヒットしている事例も増えてきています。

 その先鞭をつけたのがきゃりーぱみゅぱみゅが2011年にリリースした「PONPONPON」で、再生回数は2億回を超えています。KAWAIIカルチャーを凝縮したようなビジュアル、そしてたとえ日本語がわからなくても楽しさが伝わる歌詞、四つ打ちのEDMをベースとした中毒性のある音などが相まって大ヒットとなりました。

 YouTubeの自動翻訳機能が日本語に対応したのも2011年のことです。関連動画のおすすめから日本人アーティストのMVに出会い、歌詞の翻訳も見てますます楽曲を好きになった海外の方も少なくないでしょう。入り口は音楽やパフォーマンスそのものの魅力ですが、YouTubeが日本音楽の伝播のプラットフォームとして機能し続けていることは間違いありません。

 私は2010年代、頻繁にアメリカに出張していましたが、旅先で出会ったさまざまな人から「君は日本人か?じゃあONEOKROCK(アメリカ人はワン・“オク”・ロックではなく、ワン・“オケ”・ロックと発音します)とかBABYMETALを知ってるか?」とやたらと聞かれたのをよく覚えています。その頃から実はJ-POPの海外進出は広がりを見せていたのだと思います。

 また、韓国のように機動力高く、Day1からグローバル展開している日本のアーティストも現れています。それがYOASOBIです。YouTubeに楽曲を公開し、フル尺のミュージックビデオも公開し、世界中のSpotifyをはじめとしたストリーミングサービスのプレイリストに掲載されています。

 グローバル展開については、MVをYouTubeで世界中に配信したり、SNSを通じてプロモーションを行えますが、ある一定の規模を越えようとすると協業が必要となってきます。そうでない部分が組み合わさっています。

 ストリーミングサービスへの音楽配信は音源のデジタル流通会社=ディストリビューターを介する必要があり、初期のブレイクの裏にはこうした協力体制と迅速な仕掛けが必須です。

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